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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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「いらっしゃいませ〜、お客様一名ご案内〜」
 野郎を一蹴すると今度はセイヴァー・アームズを構えて奴に掛けた。
 隣に立ったファーランも得物を構え、その後ろではバイスが蹲っていた。
『な、何がどうなって……?』
「見ての通りだよ」
 オレは後ろにある焼かれたサンマが山のように盛られ、香ばしい煙を立てていた。
 ようするにこう言う事だった。
 オレ達はあれから日本中を回って大量のサンマを買い占め、千鶴ちゃんに大型トラックを用意してもらって電気コンロとサイモンが改造したバッテリーを詰め込み、今までずっとサンマを焼いて徘徊していたって訳だ。
 勿論焼けたサンマはオレ達が美味しく頂いた。だがファーランはともかく、バイスはグロッキーだった。
「も、もうサンマは見たくない……」
「ああ、オレもだ」
 珍しくバイスと意見が合った。
 いくら秋の醍醐味でも沢山食い続けりゃ飽きる、しばらく見たくねぇな。
 グラドは立ち上がりながらオレ達を睨みつけた。
『て、テメェら、汚ぇぞ!』
「何言ってんだよ」
 するとグラドの後ろにさっき逃げた運転手が銃を構えていた。
 もちろんそいつはサイモンの変身だった。姿がブレ出すと元のサイモンに戻ってセイヴァー・アームズを構えた。
「散々手間とらせやがって……覚悟すんだな、ブタ野郎」
 昨日出し抜かれた事が相当悔しかったんだろうな、表情こそ笑ってるが目が笑って無かった。
 だけどチャンスだってのは違い無い、このまま一気に検挙だ。
『グフッ、グフフフ……』
「あっ? 何だ? とうとう頭のネジでも外れたか?」
 サイモンが尋ねる、って言うかお前がそれを言うか?
 するとグラドは目をギラつかせた。
『本当にそう思ってんのか?』
「何っ?」
 オレが眉を細める。
 グラドは大きく息を吸うと足元目がけて一気に吐きだした。
 まるでダイナマイトでも爆発したかのようにアスファルトが吹き飛び、辺りが爆煙に包まれた。
「しまった!」
 煙が晴れると奴の姿は無く、足元には大きな穴が開いていた。
「あ〜ん、また逃げられた〜っ! くやしぃ〜〜っ!」
「心配ねぇよ、やつに発信機付けといた」
 地団太を踏むファーランにサイモンは言って来た。
 実はさっき運転手に化けている時にこっそりと奴に発信機を付けておいたと言う。
 サイモンのサポーター『パルス』をベルトから取すとこの辺りの地図が3Dで映し出された。
 そして1つの光が点滅しながら動いていた。これで奴の行先は分かる。
「さてと、今度こそ検挙だ!」
「よし、いくぞ……ううぐっ!」
 バイスは立ち上がるが再び顔を青ざめて口を抑えた。
 サイモンはため息を零すと
「無理すんな、お前少し休め!」
「す、すまん……」
「オレは車をどけとくよ、お前達は先に行っててくれ」
「わーった」
「うん!」
 オレが言うとファーランは背中から羽を生やして飛翔、サイモンも自分自身をデジタル化して近くの電線の中に入り込んだ。
 残されたオレは荷台の電気コンロの全てのスイッチを切り、バイスを助手席に座らせると車を動かした。