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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 アブラムは真の姿を現した。
 上半身の衣服が吹き飛ぶと小さくて茶色い羽毛に覆われた上半身が表れ、首から上は黒い嘴と猛禽類のような瞳の頭部、鋭い爪が生えた5本指の宇宙人だった。
『さぁ、始めましょうか』
 アブラムは身構えると目の前から消えてなくなった。
「なっ? ぐあっ!」
 一瞬何が起こったのか分からなかった。
 突然レンが吹っ飛ぶと床に転がった。
 オレが首を捻ったその瞬間、今度はオレの背後に冷たい悪寒が走った。
「くっ!」
 オレは背後に回ったアブラムに向かって足首を捻ると右腕を振るった。だが身を屈めて屈めたアブラムはオレの斬撃は空を切った。
 オレはすかさず両手で構えたセイヴァー・アームズを振るってアブラムを攻撃する、だがオレが繰り出し続ける斬撃は全て交わされてしまった。
「おらああっ!」
 オレは渾身の一撃を繰り出した。
 だがアブラムはオレの手首を鷲づかみにするとそのまま腕を引いて左の膝をオレの腹に突きたてた。
 野郎の膝蹴りが炸裂すると、オレの呼吸が止まって鈍い痛みが走った。
「ぐはぁあ!」
 痛みで怯んだところにアブラムの追撃が襲った。
 強くにぎった拳のラッシュがオレを襲った。そして右ストレートがオレの顔面を殴り飛ばした。
「ぐああああっ!」
 オレは床に転がった。
「野郎……」
 オレはアブラムをにらみつけた。
 レンも腹を押さえながら立ち上がった。
 これで元戦闘派? いや、下手な現役の戦闘派よりずっと強かった。
 するとアブラムは鼻で笑いながら言って来た。
『やれやれ、やはり鈍ってますねぇ、デスクワークばかりで思ったように体が動きませんよ』
「ケッ、言ってくれるぜ」
 余裕ぶっこいてる野郎にオレは吐き捨てた。
 するとアブラムはさらに言ってきた。
『いい加減に諦めたらどうですか? どの道全ては終る……、ならせめて大事な人だけ助けて逃げた方が賢明な判断だと思いますが?』
「ふざけんな、んなみっともねぇマネができるか!」
 オレは言い放った。
 オレは絶対諦めない、それはレンも同じだった。オレ達は立ち上がるとセイヴァー・アームズを構え直した。
 その姿を見たアブラムはやれやれと言わんばかりに吐き捨てた。
『本当に諦めの悪い……、これ以上は話しても無駄のようですね』
「っか、初めからそう言ってるだろうが!」
 と言うオレの声を無視してアブラムは懐からある物を取り出した。それはセイヴァー・アームズだった。
 こいつのはオレ達と同じ刀剣系のセイヴァー・アームズで、強く振るうと先端部分が左右に割れてそこから赤い光の刃が現れた。
 ここからが本番だった。だが問題はここからどうするかだった。何しろ奴に攻撃パターンは全て見切られている、そんな状態で攻撃に出るのは死にたがりのバカがやる事だ。
 だが手が無い訳じゃない、せめて隙が出来れば……、そんな事を考えているとレンがテレパシーで言って来た。
『バラバラに戦っていては駄目だ。奴を押さえ込む必要がある』
(ああっ?)
『協力しろ、隙をみてアレを使え』
(そうかよ、わーったよ)
 オレは心の中で呟いた。
 正直こいつとは協力したく無いがしかたねぇ、時間も無いしな……
 テレパシーを使えるって事はオレの考えは丸分かりのはずだ。後は上手く行くのを天に祈るだけだ。