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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 地球が生まれるよりも遥か昔から知的生命体のいる惑星はたくさんあった。
 アブラムはセイヴァー・エージェントとして多くの異星人犯罪者を検挙し、多くの命を救ってきた。
 しかし自分がいくら戦っても犯罪がこの世からなくなる事は無かった。それどころか釈放されても再犯し、さらに助けた者が敵になる場合もある、また自らが罪に問われずとも人を苦しませ不幸を楽しむ者達も存在する……、そんな人間達を見たアブラムはセイヴァー・エージェントの仕事に嫌気が差し、戦うのを止めたと言う。
 それでも宇宙の平和を願ったこいつはどうやったら宇宙が平和になるのかを調べる為に探索派となり、宇宙を飛び回ったのだという。
「そしてその結果、今の銀河平和条約では宇宙を平和にする事は不可能……、一度リセットする必要があったのですよ」
「リセット? それがこれか?」
「その通り、平和条約の派閥の2つを潰し、残った宇宙警備隊も潰してしまえば新たな秩序が生まれます……、貴方達も今回の事で分かったでしょう、古い法や規律などでは永遠に平和などない、新たな新世界の為に古い物は滅ぶべきだとね」
「黙りやがれ! それで結局誰が1番得すると思ってんだ? 最終的にテメェ等だけじゃねぇか!」
「誰が得をするかではありません、需要なのは宇宙の平和です、それ以外何が必要だと言うのですか?」
「当たり前だ!」
 オレは拒絶する。
 こいつは平和と言う物を重視していて、そこに住む人間の事を考えてなかった。
 法律やルールは人間が幸せになる為の物だ。それに全てを任せると言う事自体が間違いだった。
 そりゃ何が平和で平和じゃないかなんて人それぞれだ。
 だが元々そこで平和に暮していた人の暮らしを破壊して『自分のやっている事は平和の為』なんて言いがかりを付けてくるやり方が怒りや憎しみを増幅させて戦争や争い事を起こす……、つまり相手の心を無視したやり方が今回みたいな過ちを犯したんだ。
「お前のやり方は結局今までの連中がやって来たやり方じゃねぇか、大義名分を掲げただけの破壊なんて最終的に変わりゃしねぇんだよ!」
「なら今のやり方で何か変わりましたか? 何も変わらないでしょう……、それにもう襲い、宇宙連邦軍は動いているのです、地球もセイヴァー・エージェントも最早手遅れです」
「勝手に決めてんじゃねぇ!」
 最早問答無用、って言うか一々話をしてた事自体が間違いだった。オレはセイヴァー・アームズを構えて飛びかかった。
 オレは大きく振りかざしたセイヴァー・アームズをアブラムに向かって振り下ろすが、アブラムは寸の所で回避した。
 オレはすかさず交わした方向に刃を振るった。だがこれもたちまち交わされてしまいオレの攻撃は空を斬った。それでも攻撃の手を休めずにオレはアブラムを攻撃し続けた。
「どうしました? どんな攻撃でも当たらなければ意味がありませんよ?」
「野郎っ!」
 奴はオレを挑発してきた。
 オレの動きは完全に読まれていた。
 こいつはオレの攻撃パターンまで知っていたのか? 戦闘中に録画されたサポーターのデータは戦闘後に本部に渡す決まりがある、つまりこいつにはそれを見て動きを覚えたって事になる。
 すると次はレンが飛び掛った。
 レンはショート・ワープで間合いを詰めると頭上から二刀のセイヴァー・アームズを振り下ろした。
「どけっ!」
 レンの声が上から響くとオレは横に跳んで交わした。
 しかしこれもアブラムは難なく交わしてしまった。そしてオレ達は互いに間合いを空けると身構えながら言って来た。
「いくらやっても無駄ですよ、貴方達の攻撃パターンは既にお見通しです、私には通用しない」
「こいつ、オレだけじゃなくて……」
 オレは眉間に皺を寄せた。
 こいつはレンが動くタイミングまで見通していた。
 こいつはサポーターを持っていない、こいついつの間に?
「まさか!」
 1つの考えが頭をよぎった。
 こいつはここに着てからのレンの戦いをみて攻撃パターンを学習したんだ。
 モリゾン・ゲベール・戦闘員、こいつは自分以外の奴を戦わせてオレ達の攻撃パターンを覚えたって事になる。
 つまりこいつは自分の仲間を犠牲にしやがったって事になる……、するとオレの事を察したのかアブラムは言って来た。
「その通り、モリゾン達は十分役に立ってもらいました。よって貴方達に私を倒す事など不可能です、まして宇宙を救う等ね」
「やってみなきゃ分からねぇだろ!」
「フン、叶わないと知れば皆そう言うのですよ、やれ『やってみなければ分からない』だの『結果はまだ分からない』だの、いくら行った所で何も出来なければ何の意味も無い」
「野郎!」
「落ち着け、挑発だ!」
 熱くなったオレにレンは言ってくる。
 するとアブラムは言って来た。
「かつての敵に説教されるとはね、君がシド・ガーランドを倒したなどまぐれではないのですか?」
「ああ、そうだろうな」
「なっ、テメェ、どっちの味方だっ?」
 いきなり失礼な事を言って来やがった。
 だがレンは言って来た。
「オレは誰の味方でもない……、セイヴァー・エージェントに入ったのだって、正直都合が良かっただけだ」
「ほう、正直君も利用しただけですか、自分の欲望の為に利用していたと」
「否定はしない、ただ……」
 レンは一間置いて身構えた。
「オレは、こんなオレの為に泣いてくれた地球人を……、その彼女がいる地球を守る、それだけだ! その為にお前を倒すっ!」
 レンの瞳に強い光が灯った。
 そうだ。こいつには恵ちゃんと会う約束をした。
 それにオレにだって舞がいる、ここで負ける訳には行かねぇんだ!
「オレも諦めるわけにはいかねぇ、大体逃げてばっかの奴が偉そうに言ってんじゃねぇ!」
 オレは逆に言ってやった。
 だがオレには挑発の才能は無いらしい、アブラムは鼻で笑った。
「……なるほどね、ではそろそろお見せしましょうか、私の真の姿をね」
 アブラムはカッと目を見開いた。