SAⅤIOR・AGENTⅡ
オレ達はセイヴァー・マシンから飛び降りた。
このフロアにいたクルー達は自分達の職務を中断し、突然現れたオレ達に向かって身構えた。
オレ達は部屋中を見回してターゲットを発見した。
「いたな、アブラム!」
オレはアブラムをにらみつけた。
さすがにアブラムもここまで来るとは思わなかったんだろう、オレ達を見て顔を顰めた。
するとアブラムの少し離れた場所にいるエンフィールドが慌てふためきながら言って来た。
『き、貴様等っ!? 一体どうやって???』
『うろたえるな! エンフィールド少佐!』
一喝して止めたのはモリゾンだった。
そして刹那の間を空けると再び口を開いた。
『我が艦へようこそ、若きセイヴァー・エージェント諸君…… 私はこの艦の責任者モリゾン提督だ』
モリゾンは紳士的な感じで接してきた。
エンフィールドみたいに慌ろとは言わないが、敵であろうオレ達が現れた事に動じない、間違いなくこいつがボスだ。この余裕が何よりの証拠だ。
だがオレ達には関係ない、時間も勿体無い…… 手っ取り早く終わらせる事にした。
「アンタが責任者か? だったらそいつを渡してもらおうか」
『そうはいかない、彼は我々オメガにとって大切な客人だ。そして君達もな!』
モリゾンは右手を上げた。
途端部屋中にいたクルー達は腰のベルトに差してある機械の柄のコンバット・ナイフを引き抜いた。
ベルトの右の腰にはハンドガンタイプのレーザー銃を収めてあるが、周囲には精密機器もある為に刃物を選んだ。これは正しい判断だ。
モリゾンが手を振るうと一斉に襲い掛かった。同時にオレ達も床を蹴って走り出すと得物を振るった。
「「うおおおおおぉぉーーーっ!!」」
この円盤の規模からして搭乗員は少なくとも1万はいるだろう、2対10万…… いや、バクマ星人が抜けてるから2対99997って所か。
多勢に無勢と言う言葉はあるが、常に少ない数が不利とは限らない、少ない数で大軍を撃破した例は沢山ある。
相手の数が多ければ多いほど力押しは出来るがその分隙が出来る、特にこう言った密集状態では身動きがとれずに少数で戦った方が有利だった。相手に捕まれでもしない限りは負ける事は無かった。
しかし気をつけるに越した事は無い、敵が持っているナイフもただのナイフじゃないからだ。
オレの動体視力でよく見ると刀身が物凄い速さで振動している、これは電磁ナイフだ。天然か人工的にかは知らないが、スペース・メタル製の刀身を柄の中に仕込んだ機械で振動させて切れ味を倍増させている…… 恐らく分厚い鉄板さえも切断できるはずだ。
『死ねぇーーっ!』
1体の異星人がオレに向かって電磁ナイフを振り下ろした。
だがオレはそれをしゃがんで交わすとそのすぐ後ろから飛び掛ろうとした異星人に立ち上がり様体を捻って向かって刃を振り上げた。
左わき腹から右肩までを切り裂かれたオメガの戦闘員は光の粒子となって消滅した。
『ギャアアアアッ!』
断末魔を上げ転送される異星人を背に振り向くと反撃してきた最初の異星人の唐竹を切り裂いた。
2人目を切り裂くと、息を吐く間もなく3人目が攻撃を仕掛けてきた。そいつの電磁ナイフの突きを身を翻して右足を振り上げて後ろ回し蹴りを放って相手の手の甲に踵をお見舞いさせて受け流すと新たにオレの背後から来た4人目と5人目のオメガの戦闘員を横一線になぎ払った。
レンの方も逆手に構えた2本のセイヴァー・アームズを振るって戦闘員達を切り裂いて行った。
相手が振るう刃を左右に動いて交わすとがら空きになった胴体を切り裂き、順調に数を減らして行った。
元オメガのメンバーとはいえ、現在セイヴァー・エージェントであるこいつは犯罪者の殺生は許されていない。
『『『『『シャアアアアっ!!』』』』』
そこへ6〜7人のオメガの戦闘員達が四方八方から電磁ナイフを振り下ろしてきた。
レンは戦闘員達に押しつぶされるように姿が見えなくなるが、とっさに身を屈めて頭上で得物を交差させて受け止めていた。
「うおおおおっ!」
レンは両腕に力を入れるとその戦闘員達をなぎ払うと体制を崩した戦闘員達に左右のてに持つ黄金の刃を振るった。
2つの斬撃を受けた戦闘員達はたちまち黄金の粒子となって消えて行った。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki