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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 その頃、オメガの円盤は大気圏外に脱出していた。
 地球を見下すように漆黒の宇宙に浮かぶ円盤の内部ではアブラムが浦木を利用して研究させていたデータに目を通していた。
 改良型エヴォルの硬式、打ち込まれた被験者の症状、超能力者として目覚めた人間達の体温・脈拍・怒りによる能力値の激減などを細かい詳細がスクリーンに画かれていた。
 するとモリゾンは顎を摩りながら言って来た。
『……なるほどな、地球人の力がここまで凄まじいとはな』
「面白いでしょう? 私も長い間地球人を見てきました。しかし中にはデータを上回る力を持つ者も沢山いました」
 アブラムは鼻で笑いながら説明した。
 アブラムは3000年前に地球への配属が決まり、その時から幾度と無く地球人の文明や歴史を調べた。
 中には劣悪な環境で生き抜いた戦士達や、圧制に苦しむ人々を解放した英雄達など、所謂『奇跡』を起こした者達を目の当たりにして来た。
 勿論モリゾンは戦闘部隊の司令官である為にビジネスに興味がある訳では無い、しかし別の意味では興味があった。
『しかし残念でならんな、上手く洗脳すれば兵士として使えたものを……』
『提督、地球は壊滅させろとの上からの命令です』
『分かっているよ、個人的な感想だ』
 呆れるエンフィールドにモリゾンは言い返した。
 モリゾンにとってはワープまでの暇つぶしでしかなかった。
 とは言え一戦闘部隊の部隊長ではあるので、優秀な人材を確保したいと言う気持ちはあった。
 そんな事を考えている時だ。
 突然船内に警報が鳴り響いた。
 慌しくなった船内にモリゾンが叫んだ。
『何事だ?』
『急速な飛行物体が我が船に接近中です!』
『何?』
 モニターに飛行物体が映し出された。
 青く輝く光物体が高速で飛行していた。
 するとそれは画面から忽然と消えてなくなった。
『き、消えたっ?』
 エンフィールドは目を見開いて叫んだ。
 しかし驚いたのはそのフロアにいた者達全てだった。
 オペレーターは船外カメラのどこを見回しても光はどこにも無かった。
 だが次の瞬間、司令室に見慣れない物が現れた。
 そしてそれは床に降り立つと、慌てて直線状にいたオメガのメンバー達は左右に避けた。
 一方それは数メートル床を擦って引きずって黒い跡を残した。

「おっし! 何とか行ったな!」
 オレは鼻で笑った。
 今乗ってるバイクがサイモンのくれたプレゼントだった。
 メタリックのボディと青いペイントのオートバイだった。
 750ccのモトクロス・タイプで、正面には2つのライト、黒いタイヤと左右に2つのマフラー、スッキリした車体とヘッドにはセイヴァー・エージェントの紋章が描かれた。
 実はこれはタダのバイクじゃなくてバイク型空間転移装置、つまりはワープ装置だった。
 オレはレンを乗せると内蔵されている半重力装置で空へ飛び上がり、距離を縮めるとヘッドライトの直ぐ側にあるカメラで円盤内をスキャニング、内部の映像がハンドル中央のカーナビ能力も兼ねたモニターに映し出されると1番生命反応のある場所を選んでワープしたと言う訳だった。
 正直驚いた。まさか普通の飛行だけでサポーターの宇宙航行能力を遥かに凌いでいた。こりゃ火星くらいまでなら10分もかからないだろうな。
 さしずめ『セイヴァー・マシン』と言ったところか……