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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 戦いは確かに終わった。
 敵の姿が無くなり、辺りが静寂に包まれた。
 しかしまだやるべき事は残っていた。それはアジトの消火だった。
 サイモンは再び本当の姿に戻るとあちこちの水道管を破裂させ、ファーランが両翼を羽ばたかせて強い風を巻き起こさせ、バイスはあちこちを動き回りながらセイヴァー・アームズを振るって瓦礫を崩して火の回りを防いだ。
 完全に火の気は消えてなくなるとこの辺りに夜の静寂が訪れた。
 気温は低いが雲1つ無い空に浮かんでいる満月が大地を照らす中、ついにファーラン達の体力が底をついた。
「だああぁ〜〜っ、もう動けない〜〜っ!」
「ハッ、オメガとはもう二度と関わりたくねぇな」
「いや、むしろこのまま消えてくれる方がありがたい」
 ファーランが大の字に寝そべるとサイモンがその場に腰を下ろして鼻で笑った。するとバイスも近くの瓦礫の上に腰をかけるとセイヴァー・アームズを肩にかけて忌々しく舌打ちをした。
 本来ならば休んでいる暇などない、地球支部…… いや、銀星系平和条約始まって以来の危機だからだ。
 3人はサポーターで本部との連絡を取るが応答が無かった。
 壊滅した訳ではないだろうが、少なくとも連絡に出られる状態では無いと言う事だった。
 しかし3人にとっては本部と同じくらい気になる事があった。
 それを真っ先に口にしたのは以外にも犬猿の仲であるバイスだった。
「……あの莫迦は大丈夫だろうか?」
「ん、何だ親友、心配なのか?」
「そんな訳あるか、奴が死ねばシロガネ・マイが2度も悲しむだろ」
「心配しなくたってもう死んだりしねぇよ、何せオレ様が作った『新しい力』を持ってったんだぜ!」
「また何か企んでるの?」
「人聞きの悪ぃ事言ってんじゃねぇよ、本当に『す・て・き』な、プレゼントだからよ」
 サイモンはそう言うが右手の小指を右耳に入れて嘲笑する姿にファーランも、親友であるはずのバイスまでもが目を細めていた。
 だがサイモンはこう見えても時と場合を弁えているし、自分の発明品が失敗して迷惑のかかった人間はいるが不幸になった人間は誰もいなかった。
 その素敵な力が役に立つかどうかは匠次第だが、少なくともマイナスになる事だけは無いだろう。
(上手くやれよ)
 サイモンは匠達の事を祈った。