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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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『うおおっ? バ、バカなっ!』
 思わず後ろによろめいたゼンガーだったが、ファーランは刹那の隙を逃さずに両翼を羽ばたかせると巨大な胴体目掛けて飛び込んだ。
 ゼンガーがいくら巨大化したとは言え、それはただの瓦礫の固まり、本体は胸の中にいる。
 ロンから情報を預かるとファーランは右手を突き出した。
 今攻撃を食らうと拙い事になると判断したゼンガーは胸部から飛び出すとファーランの攻撃を回避した。
『ち、畜生ッ!!』
 ファーランの攻撃とすれ違うように宙に飛び出すと忌々しく舌打ちをした。
 まるでパイロットがいなくなった乗り物と言うべきか、はたまた昆虫の抜け殻のように動かなくなった瓦礫の巨人をファーランが砕いた。
 巨人はたちまち音を立てて崩れるが、それでファーランの攻撃が終わる訳ではなかった。
 そのまま一気に上昇して体制を整え直すと現在落下中のゼンガーに向かって右足を突き出した。
「はあああぁああーーーっ!」
 ファーランの蹴りはゼンガーの腹に直撃した。
 ゼンガーはくの字を描くと顔を歪ませて知に落下した。
『ぐげぇあああっ!』
 激しい轟音と供に土煙が巻き起こるとゼンガーは両手に力を入れて立ち上がった。
 だがその瞬間、地上に降り立ったファーランが大地を蹴って突進すると部分開放した龍の腕の拳でゼンガーを殴り飛ばした。
『があああっ!』
 しかしまだ終わらなかった。
 すかさず左拳がゼンガーを殴り飛ばすと再び右の拳を突き放った。
 激しいラッシュが続くと最後に右足を振り上げて腹部に即刀蹴りを放った。
 ゼンガーは数メートル吹っ飛ぶと地面に転がった。
『ぐっ…… このアマァ!』
 よろめきながらゼンガーは立ち上がるとファーランを睨みつけた。
 ファーランは身構えるとゼンガーに言った。
「よくもさっきはあんなに殴ってくれたわね、女の子を殴るのはモテ無い証拠よ!」
『ふざけるな! ぶっ殺してやるっ!』
 ゼンガーの体が光輝くと再びエネルギーが放たれた。
 そしてもう一度巨人になろうと言うのだろう、だがエネルギーを浴びてフワリと浮かび上がったはずの瓦礫は光を失い地に落ちた。
『なっ、何っ?』
 ゼンガーは驚いた。
 急いでパワーメーターを調べると自分のエネルギーがほぼゼロの状態になっていた。
 ゼンガーは…… いや、ガドリアもアムログも知らないだろう、地球人の怒りには持続時間と言う物が存在した。
 確かに怒りや憎しみは人に力を与える、しかしどんな力でも使い続ければいずれは無くなる、頭の中ではでは『許せない』とか『頭に来る』と言う『想い』は残るが心の底から湧きあがる感情は消えて無くなっている…… よくて20分程だった。
 先ほどファーランに止めを刺そうとエネルギーの大半を消費してしまった。ましてエネルギーを補充しようにも自分はサイキックからしかエネルギーを奪えなかった。
 このアジトにいたサイキック達はもういない、ここにいるのは強力な力を持っているがサイキックでは無かった。
 するとファーランは口の端を上げながらビシッと右手の人差し指を向けて言った。
「何だか良く分んないけど、アンタは二度と大きくなれないね! だったらアタシの勝ちだわ!」
『だ、黙れぇぇーーっ!』
 ファーランも分かってはいなかった。
 するとすっかり頭に血が昇ったゼンガーは右手を横に伸ばすと現在残っている全てのエネルギーを解き放った。
 する全身とはいかない物の、瓦礫が右腕に集まりだして肘から下が巨大な腕となった。
 その規模は先ほどの巨人の時の大きさと同じくらいだった。
 そしてその拳からも先ほど同じくらいの強い光を放っていた。
『舐めてんじゃねぇぞ、テメェ1人ぶっ殺すくれぇのエネルギーは残ってんだよ!』
「自分の力じゃないクセに、偉そうにしてんじゃないわよ」
 ファーランはそう言うと右手のセイヴァー・アームズを左手に持ち直すと前髪のロンに触れた。