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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 γ・モードとはサイモンが独自に開発した物で、攻撃では無く回復の為の能力だった。
 サイモンはあろう事かセイヴァー・アームズを違法改造してこの機能を組み込んだのだった。
 当時は不完全でサイモンの様なエネルギー生命体か、もしくはデータの破損しか直す事は出来なかったが、今では有機体とは言え体が残っていれば復元可能となった。
 サイモンの体が白くほのかに輝くと失った体力が戻り、サイモンは大きくため息を零した。
「ふぅ、オレ様も運が良いぜ」
 そう言いながらサイモンは立ち上がってガドリアを睨みつけた。
「さぁ、リターン・マッチだぜ!」
『フン、バカめ…… さっさと止めを刺せば良かった物を……』
 するとガドリアは鼻で笑いながら右手を伸ばすと銃口をサイモンに向けた。
 ガドリアの言うとおり、冷静に考えてサイモンに勝ち目は無かった。
 セイヴァー・アームズのエネルギー弾がまるで通じず、まして接近戦での戦闘力は皆無だった。
 しかしサイモンの顔には焦りの色が一切見られず、逆に不適に口の端を上げて笑うとガドリアの視界が揺らぎだした。
 歪んだ映像画像の様に視界がブレだすとガドリアは左手で顔を抑えた。
『な、何だこれは? 一体何がっ?』
「さっきお前の電子頭脳にウィルスを流し込んでやった。オレ様のお手製だ。結構効くだろ?」
『ぐっ、ぐあああああーーーっ!』
 ガドリアは絶叫すると頭部の回路がショートし始めて火花が散った。
 照準を合わせられ無くなったガドリアは右手の銃を当たり構わず乱射し、左手のレーザー・ブレードも所構わず振りまくった。
 しかしサイモンに当たるどころか掠る事すらなかった。
 いくらサイキックの力を得て武器の威力は上がったとしても所詮はサイボーグ、体を機械化させた事が仇となった。
 だが1番の運の尽きはそんな事ではない、自分達がいるこの地球に手を出した事だった。
 サイモン達レイス星人は宇宙1の頭脳を誇っていた。
 サイモンはその中でも飛びぬけて優秀な持ち主だったが、故郷にいた時も悪戯ばかりしていた為に出来物の様に見られていた。
 それでもサイモンは全く気にしなかったが、レイス星にいたセイヴァー・エージェントの関係者がサイモンをスカウトした。
 宇宙に行った方が面白いと思ったサイモンはそのスカウトを受けて宇宙へ旅立った。
 そしてその判断は正しかった。
 宇宙に出てしばらく経ったある日、ゼルベリオスで1人の男と出会った。
 辺境の惑星『地球』出身のその男は普通ならば体の細胞をクローン培養して作り直した後『宇宙コロニー爆破寸前に何とか脱出ポットに乗り込んで助かった』と記憶を改ざんして還される予定だった。
 医療派のセイヴァー・エージェントが準備の為に出払った隙を狙い、気まぐれに忍び込んだ医術室の専用カプセルに入れられて培養液に浸された脳だけとなったその男と話をする事になった。
 体の培養は完了し、翌日には脳が体に移植される事になった男は『故郷には残してきた妹がいる、その妹がいる故郷を守りたい』と医療派に言ったのだが、宇宙平和未登録惑星の人間を入れる訳には行かないと断られたと言う。
 家族はともかく故郷まで守りたいと言うその男が面白いと思ったサイモンは移植されるはずだった体を(無許可で)改造し、戦闘用改造人間として作り変えたのだった。
 その後上官や教官達に叱られたが、それでもサイモンが優秀なのは変わらず、さらには弱みを握られていたので彼の入隊を認めたのだった。
 一はどうなるかと思ったが、彼のやる気と持ち前の明るさで周囲に人が集まり、その時に見えなかった物がサイモンに見えた。
 皆それぞれ違う力を持っている、皆違うからこそ面白いのだと言う事を……
 悪戯こそ相変わらずだが、仲間がいるともっと面白いものが見れる、もっと面白い事が見つけられる…… この地球でまだ見ない面白さを奪われるなど我慢できなかった。
 ウィルスの効果が覿面と判断したサイモンは左手をバックルに当てながら叫んだ。