SAⅤIOR・AGENTⅡ
その頃、バイスはアムログの攻撃を回避しながら反撃の隙をうかがっていた。
アムログのマイクロ・キャノンの砲口に青白いエネルギーが溜まると金色の電撃のような物を纏って放たれた。
バイスはそれを回避するとアムログの攻撃はバイスの今までいた場所に吸い込まれるように消えてなくなると、その瞬間に電撃の様な物がひび割れたアスファルトに走ってまるで地雷のように大爆発を起こした。
いや、爆発なんて生易しいものではない、砕かれて宙に舞ったコンクリートが光に包まれて消滅した。
それを見たバイスは忌々しく舌打ちをした。
「……なんて威力だ」
直撃すればファーランでもどうなるか分からない、ましてバイスは体毛1本残りはしないだろう。
それは奴の攻撃の痕跡を見れば分かる、マイクロ・キャノンが命中した箇所は威力と規模は大きいものの焦げた面積が少ない。
通常の大砲ならば火薬で打ち出して砲弾が爆発して辺りの物を吹き飛ばしてしまう、よって焼け焦げた箇所も大分できる。
アムログの場合は体内に内蔵されたエネルギー回路から流れてくるエネルギーをマイクロ・キャノンで貯めて増幅、そして放出すると言う原理になっている。
通常ならば実弾かエネルギーかの違いはある物の着弾地点から広範囲が弾け飛ぶ。
しかしアムログの場合は増幅される瞬間にサイキック達から奪ったエネルギーを纏わせる事で物体の内側に浸透させる事で内側から破壊、物体本来持つ『抵抗』と言う物が無くなって文字通り『消滅』させていた。
まともにぶつかって勝ち目の無いのは分かっていた。
いくらバイス達ヴォルフ星人が戦闘民族で、戦いに身を置く事しか出来ないとは言え闇雲に敵に突っ込めば良いとは考えてはいない、そんなのは素人か命知らずのする事だ。
真正面からぶつかる事だけが正攻法では無い、いくら自分より強い相手でも必ずどこかに『隙』や『弱点』と言う物が存在する。
(仕方がないか)
バイスはアムログの周囲を旋回し始めた。
そのバイスにアムログはマイクロ・キャノンを撃ちまくった。
バイスはアムログの砲撃を回避するが、その着弾地点は轟音と供に消滅して行った。
『チィ、ちょこまかちょこまかとぉ!』
アムログは忌々しそうに顔を顰めた。
マイクロ・キャノンは威力は大きいし消滅する範囲さえ把握すれば連射が出来ず軌道も読みやすい…… 機動力だけならばバイスの方が上だった。
そしてアムログは強力な力を持った故に油断している、冷静さをかけて来た時が狙い目だった。
頃合を見計らったバイスは背後に回ると足を捻ってアムログに向かって突進した。
だがアムログはそれを読んでいた。
アムログは上半身を捻ると左手をバイスに向けた。
だがしかし、そこにはバイスの姿は無かった。
『何っ!?』
アムログの思考が一瞬停止する。
するとアムログのさらに後ろにバイスが現れた。
バイスはさらに加速して背後に回るとセイヴァー・アームズを振りかざして跳びかかった。
だが……
『なんてな!』
「何っ?」
アムログの目が輝くとバイスは目を見開いた。
何とアムログの首が180度回転して口が開くと口の中にエネルギーが集まった。
アムログのマイクロ・キャノンは1つでは無かった。
口の中に仕込まれたマイクロ・キャノンがバイスに向かって火を噴いた。
空中では体制が変えられず、バイスの体が閃光に包まれると爆煙と轟音の中に消えて行った。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki