SAⅤIOR・AGENTⅡ
その頃。
無人となったエイリアンハンターのアジトではファーラン達がバクマ星人達と死闘を繰り広げていた。
エイリアン・ハンター達のアジトは最早見る影もない程に瓦礫の山と化していた。
幸い市街地から遠く離れた山の中で被害は出ていないが、炎が大地を焼きつくし、立ち昇る黒煙が星空を覆っていた。
「はぁあああっ!」
ファーランはゼンガーと肉弾戦を繰り広げていた。
しかしゼンガーの両腕に光が灯るとファーランの攻撃を受け止めてしまった。
「くっ!」
『ハッ!』
ファーランが顔を顰めるとゼンガーは鼻で笑った。
セイヴァー・エージェントの本分は異星人犯罪者の命を奪わずに検挙する事だ。
決して手を抜く訳にはいかないが、ロンの能力でファーランの腕力は制限されている。
だが今のセイヴァー・アームズの形態はβモード、それに部分開放したファーランの腕力が合わされば幾らオメガのサイボーグでも腕はへし折れるはずだった。
いくらサイキック用に改造されたと言えどサイキック用に造られているのだから相手が超能力者じゃない限りはただのサイボーグ…… ガドリアやアムログと違いゼンガーは特別な武器を持っていない、ファーランとって好都合な相手になるはずだった。
しかしゼンガーは吸収したサイキックのエネルギー、つまり『念波』を自分のエネルギーに変換し、ファーランの攻撃を防いだのだった。
するとゼンガーは右手を横に伸ばしながら叫んだ。
『言ったはずだ。オレ達はサイキックのエネルギーを吸収できるってな…… そしてこんな事も出来るんだぜ!』
ゼンガーは左手でファーランの腕を払うと右手を大きく頭上に伸ばした。
途端掌から金色のエネルギーが稲妻の様に放たれると周囲の瓦礫に注ぎ込まれて行った。
すると砕かれた鉄クズやコンクリートの残骸がフワリと浮かび上がるとゼンガーの周囲を取り囲み、ゼンガーの全身に張り付くと鋼鉄の巨人となった。
『死ねぇぇーーーっ!』
ゼンガーの強く握った巨大な拳に金色のエネルギーが集まるとファーランに向かって突き出した。
「くっ!」
ファーランは両翼を広げて空に飛翔すると手の攻撃を回避した。
ゼンガーの拳が地面にめり込むとその場所は大きく火を吹いて消滅、まるで月に落ちたクレーターの様な後が残った。
それを見たファーランの顔から血の気が失せた。
「厄介だなぁ……」
ファーランは忌々しく顔を顰めながら言った。
見た目が中学生(実際は高校生)でもあまたの死線を潜り抜けて来たので分かる、明らかに今まで戦って来た中で最強最悪の敵だ。
以前にもオメガの敵と戦った事はあるが、現在戦っているゼンガーはそれを遥かに上回っていた。
勿論力量や大きさの問題では無い、奴の精神状態も含めての事だ。
『オラアアアーーーッ!』
右の次は左、ゼンガーの拳が飛翔したファーランを攻撃した。
しかしファーランはそれを交わすと同時に反撃に出る、口からレーザーブレスを吐き出した。
だがゼンガーは両手にエネルギーを集めると身構えてレーザーブレスを防いだ。
激しい爆音が響くと供に爆煙が辺りを包み込んだ。
「どうだ!」
ファーランは固唾を飲み込んだ。
勿論これで終わったとは思わない、すると爆煙を払って巨大な手が現れるとファーランを鷲づかみにした。
「きゃあっ?」
ファーランは逃れようとも体を揺するが、巨大な指はビクともしなかった。
『死ねぇ!』
ゼンガーの赤く光る巨大な目がさらに強くなるとファーランをつかんでいる右手にエネルギーを注ぎ込んだ。
「きゃぁああああぁぁーーーっ!!」
まるで高圧電流の様な破壊エネルギーがファーランを包みこみ、ファーランは身を焦がし引き裂かれる様な激痛に身を仰け反らせて苦しんだ。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki