SAⅤIOR・AGENTⅡ
匠達が脱出したのを確認するとサイモン達は自分のセイヴァー・アームズを取り出した。
「さてと、そんじゃやりますか!」
「油断するな、相手はオメガだ」
「大丈夫、アタシ達はセイヴァー・エージェントなんだから!」
それぞれが肩を並べて得物を構えると同時にバクマ星人達の束縛が解かれた。
『『『がぁああああーーーッ!』』』
緑色の光が散り散りに四散して消滅する。
これを解くだけでも結構な力を消費しただろう、しかし大した問題では無さそうだった。
それどころか逆に怒りに火を付けてしまったらしい。
『やってくれたじゃねぇか、ここまでコケにされたのは久しぶりだぜ』
『全くだ。たっぷりお返ししてやらなきゃな!』
『さっさと逃げていれば良かった物を…… 我らに楯突いた事を後悔するんだな』
ゼンガー、アムログ、ガドリアは身を震わせながら言って来た。
するとサイモン達も言い返した。
「チンピラは同じ事しか言わねぇんだな、反吐が出るぜ」
「こいつらにまともな返答を求める方が無理だろ」
「返り討ちにしてやるわよ!」
そう言うと3人は臨戦態勢をとった。
バクマ3兄弟も敵に向かって身構えた。
匠達がいた時とは違い非戦闘員がいない今は本格的な3vs3、何のハンデも無い上に邪魔者もいない…… セイヴァー・エージェントとオメガは互いに床を蹴ると敵に向かって飛び込んだ。
その頃。
兄貴とレンのテレポートで、私と恵さんと里中先生とエイリアン・ハンター人達は桜星高校の校庭にやって来た。
長距離のテレポートはやっぱり堪えたんだろう、兄貴とレンはその場に尻餅をついた。
「……くっ」
「はぁ……はぁ……」
兄貴とレンは激しく両肩を上下させて息を荒くした。
でも時間が時間なだけに学校には誰もおらず、まして3月とは言え夜の気温は真冬並み、本当ならこれだけの人数を体育館に入れる所なんだけど、生憎レンが部外者の為に学校の場所は分かってても体育館の内部を知らなかったので止む負えなく校庭に移動させたと言う訳だった。
でもどうしてレンが学校の存在を知ってたんだろう? そんな疑問が心によぎったけど一瞬で理解した。
その答えはレンの腕の中にあった。
(そう言う事…… だったんだ)
私はあの時の事を思い出した。
ずっと見守ってたんだ。
塩田さんの夢の中の世界(サイコ・ワールド)にサイコ・ダイブした時の事…… レンが言った『ずっと側にいる』と言う事の意味がやっと分かった。
すると里中先生はバクマ星人にやられた浦木の側で膝を曲げると左耳を覆っている髪をかきあげてエンゼルを出した。
エンゼルから緑色の光が発せられると浦木を包みこんだ。
『ミーゼル、まだ息はあるわ』
「そう、急いで病院へ運びましょう…… タクミ君達はアブラムを追って」
すると兄貴は鼻で笑いながら立ちあがると深く息を吐き捨てて言って来た。
「追うってどこへ? 奴の居場所が分からねぇのに?」
「アブラムの裏切りは既に地球に知れ渡ってるわ、現在地球中のセイヴァー・エージェント達が動いて……」
『ミーゼル、大変よ、セイヴァー・エージェントの各支部がオメガに襲撃されてるわ! 各支部とも救援を要請している』
「何ですって?」
里中先生は眉間に皺を寄せた。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki