SAⅤIOR・AGENTⅡ
「γモードッ!」
するとオレ達の背後から声が聞こえた。
ほんの刹那の間だった。オレ達の間を何かが駆け抜けるとバクマ3兄弟の方に飛んで行った。
それは3つの緑色の月牙状のエネルギーだった。
月牙はオレ達の間を通り過ぎるとバクマ3兄弟を攻撃した。
『『『グアアアアァァーーーッ!』』』
バクマ3兄弟の金色に輝く体に緑色の光が網の様に張り巡らされると全身金縛りにあったかのように動かなくなった。
この攻撃には見覚えがあった。
その攻撃をした方を見ると3つの影がオレ達の前に立ちふさがった。
「大丈夫ですか? 班長ッ?」
「どうやら間に合ったみてぇだな」
「ギリギリセーフ!」
その3人はアジトで軟禁されていたはずのファーラン、サイモン、バイスだった。
「お前等、何でっ?」
オレは首を傾げた。
するとバイスが言って来た。
「アタシ達を拘束してた連中なら全員眠って貰ったよ、普通の異星人ならともかく戦闘派が負ける訳無いじゃん」
「あの程度じゃ拘束にもならんがな」
「って言うか、皆さん良くここが分かりましたね」
舞はファーラン達を見ながら言う。
考えて見りゃそうだ。何でここが分かったんだ?
オレは目隠しをされて連れて来られた訳だし、ここまで来るには時間がかかる、となると誰かが知らせた事になる。
オレは千鶴ちゃんかと思い首を捻ると千鶴ちゃんは首を左右に振った。どうやら違うらしい。
方やレンを見るとレンも訳が分からないと言う顔をする、こいつも違った。
するとファーランが答えを言った。
「サイモンがタクミの体に発信器と盗聴器しかけといたんだって」
「はぁ? テメェ、何考えてんだ! 人権侵害じゃねぇか!」
「そう怒るんじゃねぇよ、おかげでこうして助けられたんだろうが」
「そう言う問題じゃねぇだろ! 大体テメェは……」
「おおっと、どうやらお喋りはここまでのようだぜ」
「話を反らすな!」
オレは叫んだ。
直ぐ後ろで舞が苦笑しているが、状況は何も変わって無かった。
バクマ星人は拘束を解こうと全身に力を入れていた。
するとサイモン達が前に出るとそれぞれのセイヴァー・アームズを構えながら言って来た。
「お詫びにこいつ等はオレ様達に任せてお前等は裏切り者を追いな!」
「バカ野郎、お前等だけで敵う訳ねぇだろ、オレも戦うぜ」
「バカはお前だ。奴が宇宙でオメガと接触したら全ては終わりだ」
バイスは言う。
バカにバカと言われるのは悔しいが正論だ。
アブラムはオメガにエヴォルを売り渡す気だ。あれが連中の手に渡れば多くの星々が犠牲になる。
するとサイモンがメガネを輝かせながら言って来た。
「ああ、そうそう、お前には良いモン作っといた。転送しといたから後で使いな!」
「ホントか?」
『本当だ』
ギルが言って来た。
そう言やコテージでも何かやってたな、本当にこいつは色々やってくれるぜ。
すると千鶴ちゃんが言って来た。
「タクミ君、レン、一度ここから出るわよ」
「班長!?」
「迷ってる暇は無いわ」
千鶴ちゃんは言う。
『グググッ』
バクマ3兄弟の束縛が解け始めていた。
以前バイスのγモードを部分開放したファーランで実験したが、ファーランでもビクともしなかった。
それが解けかけてるって事は奴等のパワーは伊達じゃ無いって事になる。
だが今はそれ以外に道は無い、オレは後ろの舞に言った。
「舞、オレにしがみつけ!」
「う、うん!」
「レン、場所は分かるわね?」
「分かりました」
千鶴ちゃんに言われたレンは頷くと恵ちゃんを抑えたまま姿を消した。
次に現れたのはバクマ3兄弟の少し離れた場所で倒れているエイリアン・ハンター達の前だった。
そして目を見開くとエイリアン・ハンターと浦木は姿を消した。
それを確認した千鶴ちゃんはオレの肩に手を乗せると耳に口を近づけて転送先を言って来た。
「ああ、分かった!」
オレは行き先を場所をイメージするとテレポートを使ってその場から脱出した。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki