SAⅤIOR・AGENTⅡ
オレがガドリアの言葉に首を傾げているとアムログがゼンガーに振り向いて言った。
「おい、そろそろオレ達にもよこせよ」
「あいよ、兄ちゃん!」
するとゼンガーはエイリアン・ハンターからのエネルギー・ドレインを止めた。
そして後ろを振り返ると両手を伸ばすと掌から金色のエネルギーが発せられた。
そのエネルギーをガドリアとアムログはそれを浴びた。
「うおおおおっ!」
「ぬああああっ!」
2人は顔を顰めた。
余程強力で高密度なエネルギー何だろう、だが……
「ふっ、ふははははっ!」
「あはははははっ!」
2人は狂ったかのように笑いだした。
途端衣服が燃え始め、顔などの皮膚に亀裂が入って綻び始めた。
ゼンガーも上機嫌そうにガドリアの横に立つと言って来た。
「兄ちゃん達、オレの言った通りだったろ?」
「確かに、こいつは最高だな兄貴」
「まさか地球人の憎しみの力がここまで強力とは思わなかった」
アムドスはガドリアに言う。
するとガドリアはオレ達を見まわしながら言った。
「これでオレ達兄弟に敵う者はいない、残念だが貴様等はここで全員消えてもらうぞ!」
ガドリアに合わせてアムログとゼンガーも一斉に目を見開いた。
すると部屋中が閃光に包まれると纏っていた衣服が皮膚ごと散り散りに消し炭となり、バクマ3兄弟が本当の姿を現した。
案の定3人は全身を機械化していた。
半年前に戦ったシド・ガーランドとはデザインが違うが、れっきとしたサイボーグだった。
黒い光沢を放つ装甲は同じ、丸い頭にガッチリとしたヒューマノイド・タイプ、ただし目の色が違う。
ガドリアは赤、アムログは黄、ゼンガーは青だった。
「テ、テメェ、さっき何言ったか覚えてねぇのか? まんまサイボーグじゃねぇか!」
オレはガドリアを指差して叫んだ。
さっきガドリアは自分達の事を『ちと違う』と言って来た。
だが言った事と現実は違った。嘘をついたのか単に大見栄なのかは知らないが、どちらにしろからかったのなら悪ふざけ以外の何物でも無かった。
すると連中は言って来た。
『見た目だけで捉えるとはおろかだな、オレ達は対サイキック用に改造されたサイボーグ、所謂『サイコ・ボーグ』だ!』
『つまりサイキックが使う念波をこうして吸収して自分のエネルギーに作り返る事ができるんだ。サイキックなんざオレ達にとっちゃ餌でしか無いんだよ!』
『こんな風になっ!』
ガドリアは右手を向けた。
すると指先に高密度の金色のエネルギーが溜まるとオレ達に向かって放たれた。
オレはテレポートして舞を、レンは恵ちゃんを抱えると左右に交わした。千鶴ちゃんもオレ達の方へ飛んだ。
(速ぇっ?)
さっきの銃弾の速度とケタが違った。
もう少し反応が遅かったら完全にやられてた。
だがそれだけじゃ無かった。
ガドリアの銃弾はオレ達の遥か後方で轟音を立てながら大爆発した。
まるでダイナマイトが爆発したかのような勢いだった。
途端部屋の明かりが消えて無くなると緊急ブザーが鳴り響き、部屋中が赤く点滅し始めた。
オレが冷や汗をかいているとガドリアは舌打ちをした。
『チッ、エネルギーが強すぎて狙いが上手く定まらん…… アムログ、お前もサーチ・システムの照準を変えるろ』
『あいよ』
ガドリアとアムログ達は片方の手をこめかみに当てた。
「……冗談じゃねぇぞ」
オレは正直ゾッとなった。
こんなの食らったら髪の毛1本も残りはしない、しかもオレはダメージを追っていて、ギルが高速で細胞の修復してるがまだ済んで無い。
恐らくレールガン(電磁加速砲)の応用だろう。
レールガンとは電気や磁力の力で弾丸の威力と速度を上げる武器だった。
それは恐らくアムログも同じだろう、最もこいつの方が攻撃力は高そうだ。
だが何はともあれ今がチャンスだ。武器の威力が強すぎて当たらず、調整している今なら攻撃は出来ないはずだ。
しかももう1体は何の武装も無い、エナジー・ドレインにさえ気を付ければ何の事は無いはずだ。
「こうなったら!」
オレはセイヴァー・アームズを構えた。
するとその瞬間、千鶴ちゃんが言って来た。
「無暗に突っ込んじゃダメよ、貴方も超能力を使えるんだから、相手の餌食になるわよ」
「だけど!」
「今はこの場から全員逃げるのが先決よ、妹さんもいるのよ」
「くっ……」
八方ふさがりだった。
一応数だけなら3対3で平等だ。
千鶴ちゃんもかつて戦闘派だったし、二つ名が二つ名だけに心強い…… だがオレは負傷しているし、なお且つ舞達を庇いながら戦うのはできなかった。
オレ達は正直言ってテレポートして逃げられる、だがその間こいつ等が何もしない訳がない。
用済みエイリアン・ハンター達は恐らく始末されるだろう、自業自得とは言えこのまま見殺しにしたら目覚めが悪い。
どうすれば良い? どうすれば皆助けられる?
オレが考えていると……
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki