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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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「どうやら君の妹さんには刺激が強すぎたようですね、ですが御安心なさい、地球もろとも消えるのですから」
「このクズ野郎……」
 オレはもう我慢できなかった。
 そりゃオレは頭良い方じゃ無い、正直言って今回の事で同じ地球人で有りながら地球人だって信用でき無くなりそうだ。
 エイリアン・ハンター達のした事も許せねぇ、だが裏で手を汚さずに糸を引いていたこいつも許す事は出来なかった。
 オレの少ない頭が沸騰寸前の所でアブラムは言って来た。
「この動画は銀河連邦軍に送ってあります、地球はあと数日で崩壊するでしょう、何しろ罪も無い異星人を殺戮していた事実は変わらないんですからね」
「お、おい、貴様っ!」
 するとエイリアン・ハンター達の…… 剛田が叫んだ。
 しかし奴も他の連中も顔色が良く無かった。銀河連邦条約の事は知らないだろうが、地球崩壊と自分達がやって来た動画を見させられて動揺してるんだろう。
 だが剛田はオレ達を見ながら言って来た。
「何が宇宙の為だよ、結局は自分達がしでかした事じゃねぇか!」
「そうだ! 地球を巻き込むんじゃねぇ!」
「やっぱりお前等が悪者だったんじゃねぇか!」
 他の連中も言う。
 しかし発せられる言葉には今までのような覇気が無い…… 確かに元凶は裏切り者のセイヴァー・エージェント、だが自分達の仕出かした事で地球が滅ぶと言う現実に心が乱れていた。
 人間は自分の秘密がバレるとやたら喋り出す、正当化や言い訳で誤魔化そうとするのは良くある事だ。
「やれやれ、くだらない…… 大体こうなっても仕方が無い覚悟があったからエイリアン・ハンターなんて物になったんでしょう?」
「覚悟?」
「ええ、復讐をするのは個人の勝手です。でも『誰かの為』や『何かの為』と言う大義名分を振りかざすと言う事は、それが失敗したら『守ってきたものが滅ぼされても仕方が無い』と言う覚悟があったんでしょう?」
「違う、そんな事は……」
 葛西は否定する。
 だがアブラムはさらに追い打ちをかけた。
「ならどうするのですか? 今更捏造動画を元にして再投稿して『自分達は自分達の為に復讐の為に宇宙人を殺してました。でも地球が宇宙人に滅ぼされようとしています』と言うのですか?」
「そ、それは……」
「さらにまだありますよ、貴方達が襲った異星人ですが…… 異星人が勤めていた会社や銀行の金庫から大金が盗まれていました。これはどう説明するのですか?」
「それは宇宙人共が悪事を働いて得た金だ! なら地球に返すべきだ!」
「地球に返す? これがですか?」
 アブラムが再びリモコンを押して動画を出した。
 そこにはエイリアン・ハンター達が誰も良無い暗いオフィスの中で金庫の中をあさり現金を奪っている場面が映し出された。
 しかも何人かが不敵な笑みを浮かべながら密かに札束を服の下やポケットに隠してやがった。
 これだけじゃない、様々な会社や銀行でも似たような事をしていた。
 こりゃネットに上げられる訳がない、地球の平和をネタに金を奪う詐欺…… いや、こりゃ完全な強盗だ。
 全員が全員やってる訳じゃない、だがエイリアン・ハンター達は顔を青くした。
 するとアブラムはさらに言って来た。
「これで良い事だなんてどの口が言えるんですかね? 大体、この映像をネットに流したんですか?」
「………」
 エイリアン・ハンター達はついに何も言えなくなった。
 今まで散々他人の粗を棚に上げて自分達は金の横領…… そんな事をしてた奴らが地球に『助けてくれ』って言って助けてくれる訳が無い。
 第一地球が一致団結したとしても銀河最強の武力を誇る銀河連邦軍に勝てる訳が無い…… ナメクジが恐竜に喧嘩を挑むようなモンだ。
 するとアブラムは目を細めながら見下すように言って来た。
「さてここで問題です、貴方達が横領した金以外の残った金…… それはどこに行ったんですかね?」
「そ、それはリーダーが全部返したって……」
 エイリアン・ハンターは浦木を見た。
 この場に全員の視線が浦木に集中する。
 すると浦木は歯を軋ませながら身を震わせた。
 この様子を見れば分かる、浦木は金を地球人に返して無かっだ。
「リーダー、どう言う事ですか? 何とか言ってくださいよ!」
「何で黙ってるんですか?」
「リーダーッ!」
「だ、黙れ黙れ黙れぇ!」
 浦木は顔を耳まで赤くすると興奮した牛の様に鼻息を荒くしながら怒声を上げた。
 そのあまりの逆上ぶりにエイリアン・ハンター達は空いた口が塞がらなかった。