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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 エイリアン・ハンター達は口を紡ぎ、千鶴ちゃんは眉間に皺を寄せながら口をへの字に曲げた。
 少し間が空くと浦木は目を細めながら千鶴ちゃんに言い返した。
「さすがは宇宙人、実に上手い作り話だな」
「何だと?」
 オレは食ってかかった。
 だが浦木はさらに続けた。
「エヴォルは地球侵略を企む宇宙人から奪った物を私が改良したものだ。残念ながら地球の武力では叶わないのを知って非常手段を取ったに過ぎない、私も苦しんだんだ」
「ハッ、何が苦しんだだ。くだらねぇ言い訳してんじゃねぇぞ! このクソ外道!」
「そうよ、アンタは自分がやって来た事を異星人の責にして綺麗事を並べてるだけじゃ無い!」
「良い訳でも綺麗事でもは無い、大体証拠でもあるのか? それに何のメリットでもあるのか?」
「そ、それは……」
 舞は口ごもった。
 方や俺も何も言えなくなった。
 確かに千鶴ちゃんの言ってる事は嘘じゃないだろうが、物的証拠が何処にも無い。
 これじゃこいつの化けの皮を剥ぐ事はできない。
 だがそんな事を考えない千鶴ちゃんじゃ無かった。
「あるわよ」
「何っ?」
「証拠ならあるって言ったのよ」
「バ、バカな、そんな物がある訳……」
「おあいにく様、秘密なんていつかはバレる物よ」
「どう言う意味だよ?」
「まだ分からないのか?」
 オレが千鶴ちゃんに尋ねるとレンが言って来た。
「異星人関係の情報は全てセイヴァー・エージェントが統括している、だがそれにしたってこいつ等の正体くらい調べられ無い訳が無いだろう」
「???」
「情報の…… 改ざん」
 オレが首を傾げると舞は言った。
 すると千鶴ちゃんが頷いた。
「尻尾をつかむのに時間がかかったけど、ようやくそれを手に入れる事が出来たわ…… それが今言った裏切り者のセイヴァー・エージェントよ、そしてタクミ君、貴方の因縁でもあるわ」
 千鶴ちゃんは一間置くと息を整えて叫んだ。
「見て無いで出て来たらどうなの? 探索派セイヴァー・エージェント代表、アブラム・サロウッ!」
 辺りがシンと静まり返り、刹那の時間が経つとフロアに笑い声が響いた。
「フフフ、良く気付きましたね」
 するとオレ達とエイリアン・ハンター達の間に1人の男が現れた。
 そこにいたのは白髪交じりの黒髪と色白で細い顎に丸い眼鏡をかけた小皺が目立ち始めた40代後半の中年の男だった。
 彼はカイト星人アブラム・カサウ、日本支部探索派の代表だった。
 オレも夏の全日本支部合同の強化合宿の時に富士山麓本部で1回だけ見た事がある、この人が首謀者?
 するとアブラムは両手を叩いて拍手をしながら千鶴ちゃんに言った。
「さすがは鮮血の女帝殿、良くこの短時間で調べられましたね」
 アブラムは目を細めながらワザとらしく言う、明らかに悪意に満ちた目だった。
「……裏切り者に褒められても嬉しくありませんね、まさか自分の上司がエイリアン・ハンターの支援者とは思いませんでしたわ」
 千鶴ちゃんは皮肉いっぱいに返答する。
 アブラムはセイヴァー・エージェントでもかなり穏便で、義務付けられている異星人との交流はデリケートに行う事を忠実に守っていた。
 しかしそのこいつが裏で糸を引いていたとは思わなかった。まさに羊の皮を被った狼だ。
 するとアブラムは千鶴ちゃんの言葉を気に掛けずに言って来た。
「貴方達の努力は認めましょう、ですが一足遅かったようですね、この改良型エヴォルの成果は確認できました。これは高値で売る事が出来る…… 特にオメガにとかね」
「オメガッ!?」
 今の言葉にオレ達はゾッとなった。
 レンも良い顔はしていない、何しろ奴はそこにいたからだ。 
 全宇宙から指名手配されている銀河規模の死の商人だった。
 奴等は各惑星にエージェントを送り込み、武器や兵器などを売りつけて大儲けをし、さらには兵器の実験の為に惑星を壊滅させていた。
 半年前にも地球にやって来て地球を地軸変動兵器『ディザスター』の実験台にしようとしやがった。
 オレ達は当時オメガのエージェントだったレンと戦い、宇宙に飛んでディザスターを破壊、実験を阻止する事に成功した。