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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 オレがそう思っていると備渡が仲間達を黙らせた。
「落ちつけ諸君、気持ちは分かるがまずは優先するべき事があるだろう」
 備渡の言葉に周りは怒り自体は収まらない物の口を紡いだ。
 すると備渡は今度はオレと目を合わせて言って来た。
「分かってくれたか? 君も宇宙人の被害者だ。供に宇宙人から地球を守る為に戦おうじゃないか」
 備渡は右手を差し伸べた。
 だがオレの答えは決まっている。
「何度言われてもお断りだ! オレは地球人とか異星人と知ったこっちゃ無ぇ、オレは舞を守る、それだけだ!」
 オレが叫ぶと時間が止まったような沈黙が訪れた。
 すると備渡は鼻で笑いながら言って来た。
「まぁ、そう言うと思ったよ、だが君の妹さんは我々の説得に応じてくれた。我々の同士になってくれた」
「んだと? 舞がお前等の仲間に?」
「ああ、これがその証拠さ」
 すると備渡は懐からセイヴァー・ブレスを取り出した。
 だがオレは吐き捨てて答えた。
「ハッ、ありえねぇな、あいつが裏切る訳がねぇ、どうせ大方あいつから奪って……」
「兄さん」
 するとオレの耳に舞の声が入った。
 振り向くとそこには舞いがいた。
 しかもエイリアン・ハンターのジャケットを羽織っていた。
「……舞?」
「兄さん、もう止めて! 異星人…… じゃない、宇宙人達は私達を騙してたのよ! 全部地球を乗っ取る為に嘘をついてたのよ」
「何言ってんだ。そんな訳……」
「目を覚まして、私達はこの人達を誤解してたの、地球は地球人だけの物よ、誰にも渡してはいけないの」
「テメェ……」
 オレは備渡を睨みつけた。
「納得してくれたか? 君も我々と供に来るんだ。もし断れば君は妹を裏切る事になるのだぞ、それでも良いのか?」
「ハッ! バカバカしい」
「何だと?」
「そんな手でオレを騙せると思ったら大間違いだ。舞は首のここん所に黒子があるんだよ」
 オレは指先を首の付け根に当てた。
 すると舞は首筋を触りながら慌てふためいた。
「そ、そんなバカな、ちゃんと記憶は読み取って…… ハッ!」
「やっぱりな」
 オレは鼻で笑った。
「貴様っ!」
 備渡は顔を強張らせた。
 大方触れた相手の記憶と姿をコピーできる能力なんだろう、オレも伊達に宇宙に行ってた訳じゃない、超能力なんざ腐るほど見て来たんだ。そう簡単に騙されはしない……
 すると偽者とは言え舞は天使の様な可愛い顔を忌々しそうに歪めると舌打ちをしながら本当の姿を現した。
 本当の姿は舞より背の高い茶髪に染めたショートヘアの女だった。
「シスコンを舐めんなよ、オレはあいつが昨日何食ったかも知ってるし、貧乳気にして大きめなパットを使ってんのだって知ってんだよ」
 オレは自慢げに語った。
 仮にここに1000人のソックリさんがいたとしてもオレは本物を目隠しで見つける自信がある。
 連中は若干…… と言うか結構引いてた。
 備渡も下目蓋をヒクつかせながら言って来た。
「……デ、データには極度のシスコンと聞いてたが、正直驚いた。ここまで来るとストーカーだな」
「だがそれで正解だったみたいだぜ、それよりこれで三度目だが舞を返せ! 次は無ぇぞ!」
 オレは最後の警告を与えた。
 だが正直無事で済む保証は無かった。
 本気で戦えば超能力者とは言え地球人が何人いようが負ける気はしない…… だがうっかりパンチ一発で腹に穴が空けちまったら大惨事だ。
 正直こいつ等のやった事は許せねぇし、ブチ殺してやりてぇくらい不愉快だがそんな訳にも行かなかった。
 すると備渡は呆れながらため息を零した。
「……やはりこの手はダメだったか、ならば彼女に手伝って貰う事にしよう」
 備渡が指を弾くと備渡の右隣りにいた奴がさらに避けるとそこには目を瞑った1人の女の子が立っていた。
「め、恵ちゃん?」
 オレは目を丸くした。
 恵ちゃんはエイリアン・ハンターのジャケットを羽織っていた。
 すると備渡は鼻で笑いながら言って来た。
「人質は1人だけとは限らないだろう?」
「テメェ、どこまで……」
 オレは歯を軋ませた。
 つくづく誘拐される事に縁があるな、そんな星の元に生まれてきたのか?
 片や恵ちゃんはゆっくり目を開くと光を失った目でオレを見て来た。
「さぁ、塩田君、こいつは我々の敵だ。始末しろ」
「……はい」
 恵ちゃんは備渡に命じられて身構えた。
 途端信じられ無い事が起こってオレは一瞬だけ思考が停止した。