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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 その後兄貴は保健室から出て来ずに午後の授業が終わった。
 だけど私の心は晴れなかった。
「あのバカ兄貴っ!」
 生徒会室で仕事をしていた私の右手のシャーペンに力が入る。
 今度の生徒会の議題は半月後に迫った文化祭の事について話し合っていた。
「私達は……シロガネさん?」
「えっ、はいっ?」
 私は振り返る。
 話しかけて来たのは雪のように白い肌に赤い唇、前髪を七三分けと後ろ髪をうなじ辺りまで切りそろえた黒い髪、宝石のように青い瞳が輝いた。思わず同姓でも綺麗だと思うくらいの人だった。
 彼女の名前は『水城・雫』さん、私より1つ年上の2年生だけどこの学校の生徒会長をしている、ちなみにこの人も異星人だ。
 彼女とはある事件で知り合い、それ以来私は生徒会役員として働いている。
「どうかしました?」
「あ……すみません、少しボーっとしてて……」
 私は肩を窄めた。
 水城先輩は咎めるどころか苦笑しながら言って来た。
「もし気分でも悪ければ言ってくださいね、残りの仕事は私がやっておきますから」
「だ、大丈夫です。心配いりません!」
 私は水城先輩に言う。
 こうなったのもバカ兄貴の責だ。
 
 それから生徒会の仕事が終わり、帰る途中だった。
 私は下駄箱に向かう途中1人の女子生徒とぶつかった。
「きゃっ!」
 倒れはしなかったけど彼女が持っていたファイルが床に落ちた。
「ごめんなさい…… あれ、塩田さん?」
 目の前にいる彼女を見る。
 切りそろえた黒い前髪に後は腰まであるストレート、私よりほんの少し背の高い生徒だった。
 彼女は二学期の初めに5組に転校してきた塩田・恵さんだった。
 塩田さんとはオメガの件で知り合い、彼女もセイヴァー・エージェントの協力者となった。
「白金さん、今帰りですか?」
「あ、はい…… 塩田さん、それは?」
 私は尋ねる。
 塩田さんファイルを拾いながら言って来た。
「ああ、今度の学園祭で使うレシピです」
 塩田さんは説明して来る。
 彼女は風紀委員であると同時に家庭科クラブに所属していて、今度の文化祭で作る創作料理を考えていたと言う。
「塩田さん、料理得意なんですか?」
「いえ、得意と言うか…… 趣味程度の物ですよ」
 それでも偉かった。私なんて朝・昼・晩ともコンビニのお弁当だってのに……
 だけど私よりまだマシだった。自炊していると言う事は私より料理の腕は上のはず、私は思い切って塩田さんに向かって一歩踏み出した。
「し、塩田さんっ!」
「は、はい?」
 塩田さんは両肩をビクつかせた。