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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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エピソード2,料理と心



「はぁ……」
 私はため息を零した。
 今日は物凄く憂鬱な日だった。
 自慢する訳じゃ無いけど私は勉強は出来る方だ。
 だけど苦手な科目が2つある。
 1つは体育、そしてもう1つが家庭科だった。
 ついさっき、私は家庭科の授業でビスケットを作った。だが……
「形は上手くできるのになぁ……」
 そう形の方は何とかなる。形の方は…… ね。
 問題は味の方だった。
 悔しいけど料理の腕は私より兄貴の方が上だった。
 兄貴と暮らしていた頃、兄貴が料理担当で私は掃除や洗濯担当だった。
「ち〜っす」
 噂をすればなんとやら、兄貴が教室にやって来た。
 兄貴達は現在桜星町で起こっている異星人関係の事件を追っている為にこの時間に登校していた。
 ウチの学校は貧乏人には優しく、学費が安くてアルバイトと言えば休学扱いさせてくれる。
 ましてや校長先生が異星人の為に兄貴達セイヴァー・エージェントにとっては都合が良かった。
 兄貴は私の横を通って自分の席に行く途中、机の上のビスケットを見た。
「お、何だ? 食わねぇならくれ」
「あ、ちょっと!」
 兄貴は私のビスケットを手に取ると私が止めるのも聞かずに口に入れた。
「ムグッ?」
 途端兄貴の顔がこの世の物とは思えない物を食べたかのような顔をしながらその場に倒れた。
「み、御剣っ、どうしたぁ―――っ?」
「保健委員っ! 急患だぁぁ―――っ!」
 クラスがまるで推理マンガで毒殺事件が起こったかのように騒ぎだした。
 自覚はしてた。けどちょっとムカついた……

 たちまち兄貴は保健室に担ぎ込まれた。
 昼休みになって私は保健室へ向かった。
「そうだったの…… 妹さん…… お料理できなかったの……」
 里中先生はお腹を抱え、笑いを堪えるのに必死だった。
 私はまともに顔を上げる事が出来ずに俯いたままだった。
「最悪だぜ、まさか舞の手料理だったとは……」
「何よ! 人の物を勝手に食べるのがいけないんでしょう!」
 ベットの上から失礼な事を言って来る兄貴に対して私は席を立ちながら言う。
 すると兄貴は上半身を起こしながら言い返して来た。
「あのな! あんな所に危険物置いておいておくなんざ、犯罪以外の何物でもねぇだろ!」
「作った本人目の前にして危険物って何よ! アンタこそ存在自体が歩く犯罪じゃ無い!」
「何だと、この殺人料理人っ!」
「うっさい! セクハラ・バカ兄貴っ!」
「ちょ、2人供落ち着いてよ! 誰かに聞かれちゃうよ!」
 不破さんに言われて私は席に座った。
 兄貴もふてくされてベットに横たわる。
 するとそれを見ていた大神さんと三葉さんも言って来た。
「誰にでも苦手な物はある、気にする必要はない」
「だな、まぁオレ様はお前等の気持ちが分からねぇがな」
 このメンバーの中で三葉さんだけは食物を摂取しなくても電気エネルギーを浴びれば生きて行けるらしい、ただ乾電池はお手軽だけどあまり美味しく無いらしい。
 そんな話をしているとようやく一息ついた里中先生が本題を切り出して来た。
「それより貴方達、今度の事件の事なんだけど……どうなった?」
「すみません班長、自分達がかけつけた時にはすでに……」
「そう、やはり奴を捕獲するには別の手が必要かしらね」
 里中先生はパソコンを見た。
 映し出されたのは赤い髪のリーゼント、黒い皮膚のブタの様な顔に赤い釣り上がった2つの目、上半身は裸で赤い爪の5本指の腕、その上から赤いベルトのタンクトップに膝の丈まである脛に幾つもの棘が生えたブーツを履いた異星人だった。
 彼の名前はベルバ星人グラド・ニーブ、各星々で無銭飲食、および食品強奪の罪で指名手配されているらしい。
「奴の為にいくつもの惑星が食糧危機に相次ぎ、最悪滅んでしまった惑星もあるわ」
「地球が滅ぶ前に捕まえなければならないのですが、俺達の力不足で……」
 大神さんは顔をしかめながら深々と頭を下げた。
「まぁ、犯罪者が大人しく待ってる訳がねぇよな、何せ宇宙一鼻が効くベルバ星人だからな」
 三葉さんは言って来る。
 ベルバ星人は大神さん達ヴォルフ星人の嗅覚を遥かにしのいでおり、怪しい匂いが近付けば逃げてしまうと言う
 なおそいつは地中を掘り進む事が出来き、マッハ3で空を飛べる不破さんや、いざとなったら地球の反対側に移動できる三葉さんでも追いつけないと言う。
「早急に対処する必要があるわね、みんないつでも出撃できるようにしておいてね」
「あ、悪ぃ、オレ食中毒で動けねぇや」
「兄さんっ!」
 嫌味丸出しで言って来る兄貴に私は激を飛ばした。