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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 その頃。
 オレ達は拠点としているマンションを遠く離れた場所に建てられたコテージにやって来ていた。
 ここはサイモンが購入したもので、いざって時の避難所となっていた。
 ここに来て早数日、意外とここの暮らしも快適だった。
 空気も美味いし飯も保存食なら悪く無い…… ただオレには重大にかけてる物があった。
「んがぁあああぁぁ〜〜〜っ!」
 暖房の効いたリビングの床をオレは頭を抱えて転がっていた。
 折角の春休みなんだし、舞が一緒なら言う事は無い…… って言うか舞と一緒なら核ミサイルで焦土になった土地でも宇宙の果ての草木1本生えてない無人の惑星だろうが極楽浄土だ。
 そんな事を考えてるとオレの近くで胡坐を掻きながらアイパットをやってるサイモンが言って来た。
「たかが数日会ってねぇくれぇで騒いでんじゃねぇよ、2年間会って無かったんだろ?」
「……妹中毒者が」
「って言うか病気だよ、妹シンドローム」
 少し離れた場所に設置されてる大型テレビでゲームをしてるファーランとダイニングでカップに注いだプロテインを飲んでるバイスが言って来やがった。
 何度でも言いやがれ、オレから舞がいなくなる(正確に言えば会ってない)と言う事は宇宙が消える事よりも重要だ。
 大体2年間会えなかったのは宇宙ステーションの爆破の責だし、こうして今の関係になったのもぶっちゃけ言うとただの偶然だ。
 どの面下げて会えば良いのか分からなかったが、それでも再び会えた以上舞はオレの全て…… いや、オレその物と言っても良い!
「ね〜、誰か対戦やろうよ〜、1人じゃつまんないよ〜」
「莫迦言え、遊びに来た訳じゃないんだぞ」
「そうそう、それにオレ様は忙しいんだよ」
「ううぅ〜〜っ!」
 ファーランは口を尖らせた。
 大体こいつとゲームをやるなんて間違いだ。
 オレは実際見た事は無いが、こいつのゲームの腕はプロ顔負けで、大会に出て優勝した事があるらしい。
 個人情報を隠す為に『天星龍姫(シャイニング・ホーリー・ドラゴン・ガール)』とか言う厨二臭い(と言うより意味不明な)ネーミングの書かれたトロフィーを見せびらかした事がある。
 こいつらは良い、やる事があるだけまだマシだ。
 だが舞しか無いオレにはこの退屈な日常は拷問以外の何物でもなかった。
「ったく…… ん?」
 その時、オレは表から異様な気配を感じた。
 この気配は間違いなく殺気だ。
 オレ達に向けられる殺気と言えば2つある、セイヴァー・エージェントなんてやってれば残された奴等が逆恨みして襲ってくるだろう、早い話が礼参りだ。
 だがそれを除けば……
「チッ、ご大層な事だ……」
 オレと同様に気付いたバイスは舌打ちをした。
 それはファーランやサイモンも同じだった。