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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 駅前の交差点に差し掛かった時、運悪く赤信号になって横断歩道前で足を止めた。
 他にも青になったら渡ろうと言う人々がオレの周囲に並んだ。
 待ってる時に限って時間の流れってのは遅く感じる…… 目の前を横切る車を見ながらそう考えていた。
 するとその時……
「うおっ?」
 突然オレは背中を誰かに押され、思わず道路に跳びだして膝を突いた。
「なっ?」
 オレの頭の中は一瞬停止し、何が起こったのか分からなかった。
 だが振り返ると大きなトラックがオレのすぐ側まで迫っていた。
 車は急ブレーキをかけるが間に合わない。
 オレは一瞬の所で前に跳んで車を回避した。
 あまりの事に周囲は固まるるが、オレがいた位置を通り越してトラックが止まると悲鳴が木霊した。
「きゃああぁぁああ―――っ!」
「事故だぁぁ――っ!」
「おい、大丈夫か?」
 オレと同じで横断歩道を渡ろうとしていたんだろう、背広を着たサラリーマン風の男がオレに言って来た。
 他の人達も心配そうにしてくれてるし、トラックの運転手も慌てて車から出て来てオレに謝った。
「す、すみません! お怪我はありませんか?」
「え、ええ、大丈夫っスよ」
 オレは微笑しながら軽く頭を下げ横断歩道の方を見た。
 オレの透視能力で周囲を見回すと数メートル先で明らかに他の人達と違う反応をしている奴を見つけた。
 周囲の人達はオレを心配そうに見ているが、そいつだけは違った。
 舞と同じくらいの背丈の、恐らく中学生くらいのガキだろう、ネズミ色のパーカーを着てフードを被っているが、フードの隙間から見せている目は明らかにオレに敵意を持っていた。
 そいつは忌々しそうに口をへの字に曲げるとオレから背を向けて走り出した。
「あっ、すいません! 失礼します!」
 オレは謝罪をしながら周囲の人々を掻きわけてその人影を追いかけた。