SAⅤIOR・AGENTⅡ
そうこうしている内に目的地が見えて来た。
建築40〜50年って所だろう、雨風にさらされて壁や赤い屋根の塗装が剥げた二階建のボロアパートだった。
アパートまで約500メートルって所だろう、オレ達は一旦足を止めて話しあった。
「……稼いでるにしちゃ随分ちんけな所に住んでるな」
「上手く正体隠す為だろ、詐欺師にゃよくある事だ」
「そんじゃさっさと飛び込んで……」
オレ達がセイヴァー・アームズを取り出そうとしたその時だった。
バイスが左手を伸ばしてオレ達を止めた。
「待て!」
「ん? どうしたの?」
ファーランが尋ねた。
だがバイスは振り返らずいアパートの方へ向かうと5つある部屋のドアノブに手を当てた。
そこはオレ達が飛び込もうとしているネカダ・マースの部屋だった。
「ちょ、バイスっ!」
「テメッ、何やって……」
ファーランとオレの言葉に耳を傾けず、バイスはドアノブを回して扉を全開に開いた。
これじゃ折角サイモンがデジタル化して相手のパソコンに潜り込んみ、証拠を抑えた所をオレ達が飛び込むって作戦が台無しだ。
だが不用心にも鍵はかかっていなかったがそんな事は問題じゃない、扉が開いた瞬間バイスが顔を顰めて左腕で鼻を抑えた。
オレ達は顔を見合わせてバイスの方へ向かう、するとその途中……
「なっ、これは」
バイス程じゃないがオレも鼻が利く。
オレの鼻を刺激したのは血の臭いだった。
しかも臭いの先は部屋の中からだった。
周囲にバレたら大変なのでオレ達は全員中に入って扉を閉めた。
ファーランやサイモンもハンカチで口元を抑えると土足のまま部屋に上がった。
カーテンを閉め切っているし電気もついていないので部屋の中は真っ暗、1WDKの部屋の中はカップラーメンのパックやコンビニ弁当等が入ったゴミ袋などが詰まれていて、とても綺麗と呼べる状態じゃ無かったが、ワンルームの和室の上で転がっている『あるモノ』を見てオレ達は絶句した。
緑色の皮膚に黒い斑模様、黒くて大きな瞳をカッと見開き、白いシャツの上から黒い上下の襟と裾に青と黄色のラインが入ったジャージを着た異星人の血まみれ死体が転がっていた。
そいつはオレ達がコレから検挙しようとしていたネカダ・マースだった。
「……マジかよ」
オレは息を飲んだ。
するとファーランが首筋に手を当てた。
だが手遅れだったみたいだ。ファーランはオレ達を見るとツインテールの頭を左右に振った。
オレはギルを首から外してネカダにかざした。
『殺されてからあまり経っていない、死後1時間と言ったところか……』
「オレ達が来る前にはもう死んでたって事か……」
「でも誰が?」
「恐らくこいつだな、パソコンの側に落ちてたぜ」
サイモンは1枚の紙切れを差し出した。
オレはそれを受け取って見ると思わず眉間に皺が寄った。
それは………
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki