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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 他の異星人達の中を縫う様にミーゼルは1人歩いていた。
 するとそんなミーゼルの背後から声をかける者達がいた。
「ミーゼル」
 呼ばれてミーゼルは直ぐに振り向いた。
 そこに立っていたのはアレスだった。
「あ、アレス部長」
 ミーゼルは一礼する。
 するとアレスは眉間に皺を寄せながら苦笑した。
「よしてくれ、かつての同僚だろ」
「そうはいきませんよ、プライベートではないのですから…… それより何か御用ですか?」
「用って程の事では無い、先日の件はどうなったかと思ってね」
「あれですか? 彼等にも聞きましたけどさすがに無理ですよ」
「やはりダメか? もったいないなぁ、あれだけの力を持つ者達を地方の守備に残すなんて……」
「皆…… 特に彼は死んでもあそこを動きませんよ、何しろ宇宙一のシスコンですから」
 ミーゼルは苦笑した。

「ハクションっ!」
 オレは盛大にくしゃみをした。
「汚な〜い」
「ああ、悪い……」
 ファーランが顔を顰めながら言うとオレは鼻を啜りながら謝った。
 オレは風邪のウィルスぐらいなら簡単に浄化できるので風邪をひく訳が無い、って事は誰かが噂してるって事になる、これが舞ならうれしいんだが……
 そんな事を考えているとバイスが忌々しそうに言って来た。
「どうせまた妹が『バカ兄貴』とか言ったんじゃないのか?」
「ああっ? 今日はセクハラしてねぇのに何で言われなきゃいけねぇんだよ?」
「普段が普段だ。言われても仕方ないだろう」
「んだとテメェ!」
「ちょっと2人供静かにしてよ! 今任務中だよ!」
 ファーランがオレ達を止めた。
 オレ達は舌打ちをしながら顔を反らした。
 確かにオレ達は今ある異星人を追っていた。
 桜星町から駅を2つ超えた町に指名手配中の宇宙詐欺師、マルチ星人ネカダ・マースが潜伏しているという情報が入った。
 こいつは言葉巧みにあまたの星の人間をだまして金をむしり取り、はたまた自分の手を汚さずに強盗や恐喝を起こさせ、挙句の果てには保険金をかけさせて自殺に追い込んだ事もあると言う。
 幸い地球じゃまだ自殺者は出ちゃいないが、すでに50人近い被害者が出ていると言う、ほおって置く事はできねぇ。
 電車から降りたオレ達はそいつが潜伏しているアパートへ向かっていた。
 するとサイモンが言って来た。
「まぁ、今回は楽勝だろ、何しろオレ様達が不意打ちかけて一網打尽なんだからよ」
「油断するな、何が起こるか分からないのが戦場だ。以前の様な戦闘メカでも出て来たらどうするんだ?」
「考え過ぎだぜ親友、あんなのそうそう出る訳ねぇって……」
「そう言えばその件どうなったんだろ、何か進展あったのかな?」
 ファーランは首を傾げた。
 それはオレも気になった。
 あれから数ヶ月かかるが、千鶴ちゃんからは何の連絡もない。
 その肝心の千鶴ちゃんは現在富士山麓のセイヴァー・エージェント日本支部本部へ行っている、何でも緊急会議が開かれるとのことだ。
「緊急会議って何だろ、またオメガみたいなのが来るのかな?」
「そんな奴らが早々来るとも思えんが……」
「いや、分からんぜ、こいつがオメガに担架切っちまったからな…… 礼参りに来んのかもな」
 サイモンは右手を握りしめ、親指を突き立てるとオレに向けた。
 ん? ちょっと待て?
「お前、何でその事知ってんだよ?」
「ああ、セイヴァー・ギアには盗聴器付けてっからな」
「ええっ?」
「ってお前…… バイス?」
 いつもの事だがこれはプライバシーの侵害だ。
 一言言ってやろうと思ったが、何故かバイスが目を泳がせながら震えているのに気が付いた。
 オレは任務以外じゃ装着しない、ファーランの場合はトレーニング・ルームでいつも特撮ヒーローのまねごとをしてるから分かる、だがバイスが何で驚くのか分からなかった。
 オレが不思議がってるとサイモンが言って来た。
「こいつのは凄いぜ、何しろ夜中にこっそり……」
「ああっ、ゲフンッ! ゲフンッ! ……そんな事より今は任務中だ。余計な話しはここまでだ」
 明らかにワザとらしく咳払いをして話しを反らした。
 ファーランの場合は変身の掛け声やポーズを考えてるだけだったが、こいつのは何やってたんだ? 見てみたい気もするが……