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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 その翌日。
 例の占い所は撤去された。
 後で聞いた話だけど、あそこの占い師の正体はかつて心理学を学んでいたホステスで、小遣い欲しさにキュヴァスの口車に乗ったと言う。
 考えてみれば悩みが無い人間なんている訳が無い、私くらいの娘が悩む事と言えば勉強か異性か家庭のどれかだ。
 心理学を学んでいたなら顔色を見るだけで人の悩みがわかるだろうし、適当な事を言ってれば当たる事もあるだろう。
 ただネイロス・カードの事やキュヴァスが異星人だった事は存在は知らなかったらしく、彼女も騙された被害者と言えば被害者だ。
 でもいくら騙されたとは言え欲に目がくらみ、人から大金をむしり取ったのは揺ぎ無い事実と言う事でホステスは記憶を消されて詐欺罪として警察に引き渡された。

 それから数日が過ぎた。
 2月他の季節と違い早く終わり、もうすぐ3月になろうとして来た。
 塩田さんは無事に目を覚まし、キュヴァスによって眠らされた人達も無事目を覚ました。里中先生の言う通りだった。
 しかし……
「こんにちは」
 私達が保健室に集まっていると塩田さんがやって来た。
 左手には部活で作ったんだろう、カップ・ケーキの乗ったトレイが持たれていた。
「これ、部活で作ったんでどうぞ」
 塩田さんは私達にカップ・ケーキを手渡した。
「あはっ! 美味しそ〜」
 不破さんは両手を合わせて目を輝かせた。
 塩田さんは今回の事を覚えていなかった。
 ネイロス・カードの事もレンの事について里中先生に相談した事も全部忘れていた。
 彼が何かしたか、ネイロス・カードの副作用かどうかは分からない、でもあれからと言うもの、塩田さんは前異常に明るくなった。
 こうして時々差し入れを持ってきてくれる…… まぁ良い結果と言えば良い結果だ。世の中忘れた方が良い事だってある。
 ただ彼女は良い、でもそれ以外の人は良い結果じゃすまなかった。
 私はその人を見る。
「クッソ、一体誰なんだ?」
 三葉さんは眉間に皺を寄せ、舌打ちしながらアイパットを睨みつけていた。
 私が夢の中には行った後に2つの脳波が塩田さんの心の中に入り込んだのを知っていたらしくそのもう1人の脳波が誰の物かを調べていた。
 私は一応助けてもらった事がある手前、彼の事は黙ってる事にした。
でも兄貴や不破さんはともかく、里中先生や三葉さんや大神さん相手じゃ隠しきれる自信が無いので『見慣れないセイヴァー・エージェント』と答えておいた。
 間違っても嘘はついて無い、ただ一部真実を隠しただけだ。
「サイモ〜ン、そんな難しく考えなくて良いじゃん、もう終わった事なんだし〜」
「そうもいかねぇよ! オレ様に解けねぇ謎なんかねぇ…… まして新米のセイヴァー・エージェントが入ったなんて情報聞いてねぇぞ」
 珍しく取り乱していた。
 こんな三葉さんが拝めるなんて中々無い。
 でも問題は彼だ。
 どんな理由があるのか分からないけど、私はまだ納得できない、もしまた塩田さんを悲しませるようなら…… 今度こそ絶対許さない。
 宿題をしながら私はそう思い、シャーペンを持つ手に力が入った。
「信じてるからね…… レン」