SAⅤIOR・AGENTⅡ
戦いは終わった。
キュヴァスもいなくなり、夢の中の塩田さんを起こせば眠りにつかされた人達も元に戻る。
すると彼は私達に背を向けて歩き出した。
その彼を私は止めた。
「待って!」
私が言うと彼は足を止めた。
正直私は納得できない。
キュヴァス程じゃないけど、彼も許せなかったからだ。
「どうして会ってあげなかったの? 今回塩田さんがこうなったの、貴方にも責任があるのよ!」
私は言ってやった。
地球に来てるならば会ってあげるべきだったんだ。
そうなれば今回みたいな事は起こらなかったかもしれない。
すると彼は振り向かずに言って来た。
「……今のオレには、彼女に会う資格が無い」
「どう言う意味よ?」
私は意味が分からなかった。
彼は少し間を置くと右手を握りしめると少し首を項垂れて言った。
「オレの事は誰にも話さないでくれ、いずれ胸を張って彼女に会いに来る」
それだけ言うと彼の姿が煙の様に消えてしまった。
恐らく現実世界に戻ったんだろう、残された私は塩田さんを見降ろした。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki