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廃人ニートと義妹と幼なじみと

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1.ああ、素晴らしきニート



「紅、昼ごはん作ったよ。ねえ、下におりて一緒に食べない?顔も見たいし…」
またか…扉の向こう側にいるのは藍原凛。俺のひとつ下でいとこもとい義妹だ。朝の挨拶、飯の時間、就寝時、出かける時、学校に行くとき、帰ってきたときに毎回毎回懲りずに話しかけてくる。はっきり言って耳障りだ。最後に顔を合わせたのはこの家に来たときでこちとら写真をみないと顔もあまり思い出せない。
俺が返事に応えないでいると
「じゃあご飯置いとくね。ちゃんと食べるんだよ」
最初からそうしていればいいものを。そろそろ俺が出てこないことを諦めてほしい。人間諦めが肝心だって言うしな。
凛が階段をおりたことを確認し、ドアを開けて昼飯の乗ったおぼんを持って再びドアを閉じた。ちなみに昼飯はオムライスだ。俺の好物だがオムライス上にダイイングメッセージのような感じでケチャップで
opun tha door
とopenのスペルを間違えて書かれているのに少々いらっとくる。
まあ問題がこれだけならまだ許せる範囲だ。だけどこれだけじゃないから許せない。時間的にもうすぐ…
"ピンポーン"
家のチャイムがなった。
「はぁ…きたか…」
そして階段を上がってくる音が聞こえる。足音がどんどん近づいてきて俺の部屋のドアの前で止まる。
「ねえ紅、あんたいい加減に出てきなさいよ!なんでずっとそんなことしてんの!」
今俺の部屋の前で騒いでいるのは椎木紗綾香。あれだ、幼なじみってやつ。こいつも毎日毎日懲りずにうちに来ては俺の部屋の前で騒ぐ。しかもその時間が長いからたちが悪い。
俺は布団に包まり耳を塞ぐ。ほんっっと耳障りだ。俺のことはほっとけよ。
30分くらい経つと声も聞こえなくなり、階段をおりる音が聞こえた。やっといなくなったか。なんで引きこもりに出てこいっていうのかな。あれ逆効果だから。やれって言われたらやる気なくすやつと一緒だから。
「アニメでも見るか…」
俺は午後の時間をアニメを見ることに使った。
夕方になり妹が夕食の買い物に出かけたのを確認すると俺はトイレに向かった。この家は広いくせにトイレが玄関の前に一つしかない。その代わりかわかんないけど風呂が二階と一階に一つずつある。意味がわからん。トイレも二階に作れよ!行きづらいだろ!
用もたし、トイレをでると予想外の奴がいた。
「忘れ物〜♪忘れも…の…」
陽気に歌ってたそいつと目があってしまった。そう、凛と
「えっ…と…紅…?」
俺は逃げた。それはもう自分でも驚きの速さで階段を駆け上がり部屋戻った。
「あ、あさはかだった…」
まさか忘れ物を取りに戻ってきた凛とエンカウントしてしまうとは。次からは気をつけよう…
「ねえ!紅!やっと会えたのになんで逃げるの!鍵開けてよ!…ってあいてる!」
あ…やっちまった…鍵を掛けることまでに頭が回らなかった。俺は急いでドアに近づいて行き鍵を掛けようとする前より先にドアが開いた。
どん!
そしてまるで弾丸のように凛が俺に突進してきた。
がすっ!
「痛でぇーーー!」
腹部に突進され、倒れた衝撃で机に頭を打ち付けた俺はあまりの痛みに悶絶した。
「久しぶり。紅」
俺の目の前には凛が仁王立ちしていた。しかも手には新聞紙を縛るビニールの紐とスポーツタオルを持っている。そんなもの準備する時間あったのか!?ていうか俺に何をする気だ!そして凛は今だに痛みに悶絶する俺の体にビニールの紐を巻きつけてきた。しかも血が止まりそうになるくらいきつく。
「おい!テメー何すんだ!」
「あーもーうるさいな!ちょっと静かにして!」
「も、もが!」
口にスポーツタオルを巻かれた。ついでに目にも。なんだこれ、俺今からなにされんの?拉致か!拉致られてんのか俺!手も足も全く動かないし。
「あ、そういえば買い物まだだった。しばらくの間そのまま待ってて!」
と言うと凛はいってしまった。ほんとなんなんだよ。あんなに焦っといて縛り上げた途端に放置プレイかよ。それにしてもこのビニール紐頑丈だなおい。何十巻きにしたんだ。なんかもういいや。これは夢だ。夢。
俺はもう諦めて今の状態を夢だと自己暗示した。夢じゃないことは自分が一番わかってるくせに。だって今だってまだ頭痛いし。
1時間くらいたって凛が帰ってきた。だが階段を上がってくる足音が一つではない。嫌な予感しかしない。
「おまたせー!紅!」
「ねえ凛、もしかしてあのミイラみたいな物体が紅?」
「うん!ほどけないようにビニール紐二つ分使って巻いたの!」
声からして凛と一緒にいる奴は紗綾香のようだ。どうやらわざわざ呼びに行ったみたいだな。迷惑なことに。ていうかビニール紐二つ分って…
「っとその前に…」
がん!ばきっ!
っと音が聞こえる。何をしたんだ?
「凛なにしたの?」
「ん?この部屋の鍵壊しただけ。この部屋この部屋の鍵って外側から開けられないからさ。これで部屋の中に閉じこもることはできないでしょ。」
なんてやつだ。もうこいつは俺の敵でしかない。
くそ…なんでこんなことに…
「えっと…凛、紅の紐とかほどいていい」
「いいと思うけど何があっても保証しないよ」
なんだよそれ。俺を危険物みたいなことをいいやがって…
紗綾香によって体に巻かれてた紐がほどかれた。やっと体の自由を得た俺は口と目に巻かれてたスポーツタオルを取った。そして目を開けて俺は思ったことを口にした。
「お前だれ?」
「誰って何よ!あたしよ!紗綾香よ!」
「いや、わかるけどよ。でもその姿…」
最後に紗綾香をみたのは同じ高校に入り入学式の時以来だったが、その時の姿は黒髪で髪の毛も肩までしかなかったはずだ。しかし今目の前にいる紗綾香はオレンジに近い茶髪でピアスを付け、長い髪を以下にもかわい子ぶってますって感じに結んでいる。いってみればみた目がビッチ。
「こ、これは色々あったの!」
色々ね〜。どーでもいいけど。
「でよ、なんのつもりなんだ?凛」
キレ気味に言う。実際キレてるけど。
「ここで話すのもあれだしさ下で話そうよ」
「やなこった。ここで話せ」
俺が下にいくのはあくまでトイレにいくときだけだ。トイレ以外の理由で下にいくなんてやだね。
「じゃあ隠すつもりはないから単刀直入に言うね。わたしは紅のこと好きなの。likeじゃなくてloveの方で」
「…は?」
なに?俺もしかして告白されてんの?なんで?意味がわからん。
「お前なにいってんの?だいたい俺ら一応兄妹だぞ」
一番はそこだ。ギャルゲーじゃあるまいし。
「それに関してはね紅はウチで引き取っただけで現実的には居候って感じで兄妹じゃないし。しかもいとこ同士なら法にもふれないと思うし」
「いや、まあそれならそれでいいんだけどはっきり言うけど俺さ、お前のこと大っ嫌いだぜ。拒絶するくらい」
これはほんとのことだ。今この時も会話しててイライラする。まあ、この俺の一言でひいてくれるだろう…
「紅がわたしのことを嫌いでもいいよ。そんなことでわたしの気持ちは変わらないし。それに紅にはわたしのことを好きになってもらうから。だから部屋をから出てきて欲しいの」
「…俺はお前のそういうところが嫌いなんだよ!!」
俺はブチ切れた。一人会話に置いてけぼりの紗綾香はオロオロしている。クソ目障りだ。