ihatov88の小咄集
5雨乞いの祈祷師 4/27
地球のどこかのとある村。近年は地球環境の変化で日照りが続き、土地は枯れて痩せ細り、作物が育たず村は存亡の危機に瀕した。
そんな中、一人の男が現れて村を救った。その名はレイン。彼が祈りを捧げれば必ず雨が降るのだ。そして彼は村が干上がると突如現れ、祈りで雨を降らせるとどこかへ去ってゆく。彼は村人から現人神と崇められ、民から様々な進物が賜れた。
レインは巫女のメーアをお供に連れて日照りに困る村を訪れては雨を降らす。彼の素晴らしさはその祈りで降らなかった雨は過去に一度もなく、必ず三日以内に降ることである。まさに神がかりで、彼が現人神と崇められるゆえんなのである。
今日もレインは村を救い、拒みきれなかった進物を馬車に乗せながら次なる村を目指していた。
「レインさま、質問があります」
「なんでしょう」
馬車を曳く巫女のメーアはレインに問い掛けた。
「先生が祈ると必ず雨が降るのはどうしてですか?」
レインはさっきの村で頂いた肉を頬張り、そして爪楊枝を加えてこう答えた。
「あったり前やん。降るまで祈るんやから」
「次は、あっちの村へ行こうかのぅ♪」レインは遠くに見える雨雲の方を指差して、メーアに馬を走らすように指示をした――。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔