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ihatov88の小咄集

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31家電どうしの会話 6/25


「ちょっと、あんた」
「何だい、お前」
「あんた、ちまたではモテてモテてしょうがないってもっぱらのウワサじゃないか」
「俺っていつも勘違いされてんだが、そんなにモテないんだぜ」
「あんたはモテそうな名前なのに?」
「おう、俺は嘘と坊主の頭はゆったことねーぜ。俺はあんた一筋なんだぜ」
「なにをまた……」
「そういうお前こそ、ほっぺが落ちそうな甘い名前をしてるのに、何だか湿っぽいな」
「そういうお前さんこそドライ過ぎるから、あたしは受け付けられないのさ」
「待ってくれ、俺はお前のことが好きなんだ」
「あんた……」
「本当は一緒になりたいのさ。湿っぽいお前がいるから俺のスゴさがわかるってもんだ」
「そんなことしたら、あたしのいる理由がなくなっちゃうじゃないか」
「そうか?」
「あたしたちは一緒にいちゃあいけない運命なのさ」

 押し入れの中で二人並んだ除湿器と加湿器の会話が続く――。二人は結ばれるのか?
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔