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ihatov88の小咄集

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36暑い時は…… 8/3


 石油精製会社に勤務する私は、サウジアラビアに赴任することになった。そもそも暑いのが大大大大嫌いなのだが上司の一声で、
「今度アラブ行ってくれるか?」
軽い一言で辞令を渡され飛行機に乗って日本を発った。
 現地に着いて第一声
 
  暑い――。または、溶ける――。

手元の時計を見たら気温は40℃、華氏でいえば100°Fを超えている。
「体温より暑いやないかい」
数字をみたらゲンナリするので温度計を見ないことにした。
「どないしよ、こんなところじゃ三日もたへんがな」
うなだれる私。気温が体温より高いということは、扇風機のかき回す風は熱風であり涼しいのではなく逆に暑くなるという

ことだ。自分の職業選択を呪った。暑いのが嫌いなのになんで石油関係の仕事に就いたのだろう。一度は産油国へ赴任する

ことだって十分予想できたはずなのに。
 そうはいっても後の祭り。私はタクシーに飛び乗って滞在先のホテルに向かった。

 外と違ってホテルは快適そのもの。日本よりも空調が聞いていて心地よい。
「ここいらの人は夏の暑い時期はどうやってしのいでいるのですか?」
これはだけはどうしても聞きたかった。この国の人はどんなに暑くてもここで生活している。なら暑さをしのぐことについ

てものすごい知恵があるはずだと思い私は絶対に知っておかなければと質問をした。
 すると、ホテルのフロントがこんな答えが、

「昼は暑いので外に出ません。クーラー聞いた部屋にいます。涼しい夕方になってから行動するんですよ」 

 そういや道中外にいる人あまり見かけなかったな。というか結構普通の答えやんか――。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔