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ihatov88の小咄集

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37ウンチク名探偵 8/5


 密室の中で起こった殺人事件。被害者D社長の胸にはナイフが刺さっていて全身血まみれになってすでに死んでいる。発見者である秘書のA、執事のB、そして一人息子のCと名探偵が現場に駆けつけてD社長を取り囲んでいる。部屋は内側から鍵がかかっており、BとCでドアを蹴破って侵入したところこの惨劇を目の当たりにした。
 死体を見つめる探偵はあごをさすりながら自分で頷きながら次に部屋の周囲を見回し、そしてABCの三人の顔を順繰りに見つめた。
 そして、探偵は「そうか!」を手をパチンと鳴らしてここにいる三人に話し始めた。
「この中に犯人がいます」
「そんなはずないでしょ」驚いた様子のA
「そうですよ、ご覧のとおりここは完全密室でしたよ」落ち着いているB
「じゃあどうやって親父を殺すことが出来るんだ」声を荒げるC
「そうだ、じゃ証明してみなさいよ」
「いくら名探偵の貴方でも今回は……」
「そうだそうだ!」
 一同騒然。関係者は探偵に疑いの目を掛けられたのに納得がいかずそれぞれが探偵に詰め寄る。
「まあ、落ち着いてください」
あごに当てた手を前に出して三人を制止するのは探偵。
「いいですか、それでは説明しましょう――」
 と探偵が口をあけたその瞬間。
「すみません、私がやりました」探偵の口を封じたのはA
「ええーっ?」
「なんで、なんでアンタが」
「だって、どうせバレるんやから探偵のウンチクなんかいらんわ」
「そりゃ、そうですな」
「はい、問題解決。じゃあ警察行こか」
「そやね、じゃあ自首しまーす」
 BとCは探偵を現場に残し、Aを連れて警察署に向かった。

「俺にも、喋らせてよ……」
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔