ihatov88の小咄集
41ハンター 9/5
村の周辺で大熊が出たということで、村の猟師たちが村の安全を守るため銃を構えて熊狩りに出ることにした。情報によれば目撃されている熊は体長2メートルを超える大熊で、歴戦の修羅場をくぐってきた猟師たちも対峙すれば退治することはとても不可能だ。それでも有志たちは自らの命を顧みず、森の中へと入り熊を探すことになった。
「さぁ、行こうか。村のため、家族のため」
私は相棒の猟犬ジョンを連れて森に入った。森は鬱蒼と茂っていて視界が悪い。若い頃ジャングルの戦地に行ったことを思い出しながら息を殺し、獲物のの大熊が出るのを待った。
ガサガサガサ……
「来たぞっ!」
森の奥で影が動いた。ここから見てもかなり大きい、うわさの通り体長2メートルは間違いない!
BANG!
私は迷わず引き金を引いた。昔の経験と腕は確かだ。私が撃った一発のあと、森の向こうでドサッという音が聞こえ、大きな影は見えなくなった。私は右手を小さく握り「やったぞ」と呟き、相棒のジョンに獲物を確認するよう合図をすると、ジョンは元気良く森の中へ飛び込んで行った。
「いいぞ、ジョン!確認をしたら戻って来い!」
森の奥に向かって叫ぶとジョンは一声吠えて、彼の影がこっちに近づいてきた。
「おや……」
ジョンは何かを咥えている。予想外の結果に私はジョンが持ってきたものを確認した。
「なんと大きな……」
ジョンが加えてきたのは立派な靴だった。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔