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ihatov88の小咄集

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40ピーターパン 8/24


 遊園地と言えば〇ィズニー〇ンド。そこには夢が詰まっている。大人も子供もおじーちゃんもおばーちゃんも、ここへ来ればみんなハッピーな子どもになれるのです。密入国してまで来たい人がいるくらいだからその話は本当だ。噂なんかじゃない、本当なんですよ。

 そしてそこで見たんです!というか、いたんです!

 あれは数年前のことでした。せがむ子供たちを連れてそこへ行った時のことです。日本人の夢、いや、世界の夢の国での出来事です。私たちはひと通り遊び、園内のある場所で記念撮影しようとした時に見たのです。

 ウチの子の写真を撮ろうとカメラを構えると緑の少年が間に入ってくるのです。画角に入ってしまうので位置をずらして構えてもまたやってくるのだ、緑の少年が。
「何や、あれは」
 どれだけ動いてもカメラに入ってくる緑の少年の服装はまさにあの格好だ。そういやショップでその服が売っていたのは入り口近くで見た。なりきっているのだろうか?
 最初はほほえましかったのだが、何度もカメラに入ってこられるとだんだんイライラしてくる。そして彼は言葉がわからないといっていいくらい我々の言うことを理解しない。
「えーい、何とかならんのかい、あの〇ソガキ!」
 痺れを切らした私が小さく叫んだところ横にいた嫁が一言、
「あれがホンマのピーターパンなんやで」
「ほぉ」

 ……いたんだ、ピーターパン。

 すばらしい、あそこはやっぱり夢の国だ。大人も子どももおじーちゃんもおばーちゃんも子どもになれる。そして自然と癒される、ああ、素晴らしい――。まさに夢の国だ。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔