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ihatov88の小咄集

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43裏の番長 9/15


 俺の学校には裏の番長がいるらしく、そいつがいるから今の学校は大きなぶつかり合いがなく、平穏な学生生活がすごせるという。しかし、裏の番長とやらはどの組の誰で、どんなヤツかは誰もしらない。そもそもうちの学校にはそんな番格の強面のやつもいない。
「ちょろいモンだ。これならおれが番長になってこの学校で天下を獲ってやる」
もともと腕っ節には自身があるがそうとなれば話ははやい。おれはある日クラスの中で堂々と宣言してやったのだ!

「今日から俺がこの学校の番長だ!」

 気持ちいい。クラスメートが俺を羨望の眼差しで見つめているようだ。今日からおれがこの学校の頭となって肩で風を切って歩いてやろう。

 そう宣言した放課後、学校を出ようと靴箱を開けたら……。
「あれ?」
俺の靴が無いのだ。
「おや――」
靴箱周辺を探すと何と俺の靴は端っこにあるゴミ箱に捨てられているではないか。
「まあ、俺に対して対決姿勢を見せるヤツもいるだろう、くだらないことは気にしない気にしない」
その日は何もなかったように靴を拾い上げそのまま下校した。
 しかし、来る日も来る日も俺の靴がゴミ箱に捨てられているのだ。誰がやっているのかわからない。そして番長を宣言したものの日常の生活に変わったところって全く無い。
 あまりに気持ち悪いので俺は再び宣言した。
「番長、やめる」
 そういったその日から俺の靴は捨てられることが無くなった。
 そこで俺は思った。

    やっぱりいたんだ、裏の番長

 俺は卒業まで波風立てずにおとなしい学生生活を送ることにした――。 
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔