ihatov88の小咄集
62それってどーよ!? 1/6
正月のサービスエリア。大渋滞。駐車場に並ぶのは車、くるま、クルマ。並んだ並んだ赤、白、黄色。
あっちの駐輪場には並んだ並んだバイク、単車、オートバイ。みんなで揃ってどこへ行く。今日はみんなが大移動。家族揃って、仲間揃って大移動。
サービスエリアの駐車場。奥の方の一角に集まる集団。数えてみれば20台。クルマ全部がキャンピングカー。数もさることながら並んでみるとけっこう異様、サービスエリアがキャンプ場になっている。横の芝生で勝手にバーベキューする者もいれば、サービスエリアなのに酒盛りをする者もいる。そこを揃いの革ジャン着たハーレー乗りのオッサン集団が横切って行くとここは果たしてニッポンなのか?
そんな異様な雰囲気にちょっと興味深くなった私はキャンピングカーの横で腕組みして井戸端会議しているオッサンのグループが喋っているのに耳を傾けてみた――。
A「オタクの車、かっこいいですな」
B「エエでしょ?でもこの車、水出ませんねん」
C「そりゃ、あきまへんな。そういうAはんのもシャレオツやね」
A「ありがとうございます」
サービスエリアは車の展示会、お互いの自慢の場になっている……。でも、それはここでするもんじゃないんじゃない?
話はここで終わらなかった。
B「これからワシら、どこへ行くんやった?」
C「えー、と。この先のホテル」
A「やっぱホテルの方がエエなあ」
C「そやろ、そやろ?この車カラ大きいだけで中で寝たら疲れるねん」
B「やっぱ旅行はホテルと温泉やで」
オッサンたちはそう言ってうなずいて、自慢の車のタイヤを蹴りつけるとさっさと車に乗り込んで堂々の車列を組んで近くの観光ホテルに向けて走っていったのだった――。
それって、どないやねん……。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔