ihatov88の小咄集
65伝説のメニュー 1/27
近所の中華料理屋でのこと。ここにはちょっと目につくメニューがある。ラーメン、餃子、回鍋肉、字面だけでもうまそうな献立が並んでいる。店頭の立て看板の一番下の一行。私の興味を引き付けて放さないメニューがある。
チャーライ
一体どんなメニューだろう、チャーライ。中華料理屋だけにどこかで聞いた事のある発音、チャーライ。でも、あそこの大将は全然チャラくない。ナタみたいな中華包丁の似合う、日本語がいつまでたっても上手にならない中国人のおっさんがいたはず。
「あなた、ちゅもん決まったか?何するか?」
という声がココまで聞こえてきそう。やっぱりチャーライはチャーとライ。中華の基本は炒飯だ。横浜中華街の周トミトケも言ってた。そしてライ、やっぱりそれってライスのこと。ということは……、
メシものにメシもの
なのか?そして看板のチャーライの後ろに赤文字で「大人気!」ですって?そんな炭水化物アンド炭水化物がそんなに人気なのか……?
好奇心を押さえられない私はいざ入店。
「あなた、ちゅもん決まったか?何するか?」
「だたらチャーライを、一つ」
すかさず答えた私も中国なまり。
それから数秒、笑うくらい速くに運ばれてきたのは――
チャーシューライス
……なんかホッとした。
「熱いのがウマイ、早よ食べるね」
ホッとする間もなく大将に勧められたのであった。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔