ihatov88の小咄集
66中華大食漢 1/28
運ばれてきたチャーライ。チャーハンライスではなくチャーシューライス。略してチャーライ。自称ここの大人気メニュー。中華料理屋の大将がそう言う。
「どした?熱いのがウマイ、早よ食べるといいね」
大将に勧められるままにレンゲを差す。
伝説のチャーライ、すごいのだ。味もそうなのだがその量が。水平に見たら向こうが見えない、「ニッポン昔話」のご飯のような盛り方だ、これはまるで「山」だ、メシでなくて山。メシでできた山だ。そもそもこれは食べきったヤツおるのか?
「いっぱい食べるね。ワタシこれくらい朝メシ前ね」
なんか使い方間違ってるような気もするが、この大将だったら確かに食べてそうだ。
ところが、これがウマイのでなんぼでもレンゲが進む、口が動く。まさに伝説のメニューとはこういうことなのか。さすがは中華料理、食は万里を越えるわけだ。
腹に詰み込めるだけのメシを詰め、ゴールが見えかかってきた。メシの山は平らに整地され、レンゲはとうとう最終地点を告げる皿の表面に到達した。レンゲが皿に当たる堅い音がなんとなく達成感。
「これは……」
皿の表面、つまりは山の底。よく見れば皿の真ん中に何かが書かれてある。私はレンゲでチャーライをかき分け底に隠された文字を明らかにした。
おかわり無料、ご自由にどうぞ
……誰が食べるねん。
「お、兄ちゃん食べたか?おかわり、イルか?」
大将、あんたはすごいわ。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔