ihatov88の小咄集
73風に乗って 5/8
日出づる国、ワタシ住む大陸の向こう、日本と呼ばれるトコロ。その国では有名な人いると聞いた。この時期の少し前に風に乗って突如現れて、その国の人を涙流させては消えていく。
「そんな、スゴいことできる人是非会ってみたい」
と思ったね。
だけど、春が終わるとどこかへ行ってしまうね、正に風のように。どうしても会いたい。日本から来た人に聞いたらそれは「ハナコ」という名前であることだけ分かったね。キレイな名前ね、どうやったら会えるかワタシ真剣に考えた。
だけど、ワタシの国の人も日本の人もアナタは絶対に会ってはいけない言われた。
ワタシ分からない、理由を聞いたらみんな
「アナタとハナコさんが一つになったら大変なことになる」
と言うけどワタシみたいなどこにでもいる人が会ったら大変なことになる意味が分からないね。
ワタシ考えた。そうだ!ハナコさんは風に乗って現れるのだから私も風に乗ったらいいのだ。そういうわけでワタシ風に乗って大陸を越えて日本にやって来た。
「ニーハオ、ニッポン。ハナコさんはどこ?」
上空から見える日本の皆さん、どうやらワタシを歓迎していないみたいね。人に優しい日本人と聞いていたのに残念ね。
そんな上空で見かけたのが憧れのハナコさん。
「ああ、お会いしたかった。花粉(ハナコ)さん」
そんなハナコさんの表情も暗い、ワタシ残念。
「アナタとワタシ、一つになったらこの国の人みんなが目はショボショボ、鼻はグシュングシュンになりますねん、大陸からやって来た黄砂(コウ・サー)さん」
ワタシ、日本の人に迷惑かけたくないね。だから一生懸命空を飛び続けます、もし上陸したら謝ります、スイマセン……。
黄砂の独り言。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔