ihatov88の小咄集
75ウルトラ携帯端末改良型 5/14
「ジェアァァ!」
「なんやなんや!」
さっき出ていったと思ったら、ちょっとして戻ってきたウルトラさん、割れた窓がさらに割れた。すかさずウルトラ語翻訳ボタンをプチッ。
「秘書連れて帰るの忘れてた。……ちゃうちゃう。改良型を星から取って戻って来ましてん」
おお、新型翻訳機。頼みもしてへんのに関西弁になっとるがな。呆れ顔でおっかなびっくりの社長、抱えた自分の銅像の頭もびっくり。何でかって?そりゃ『ジェアァァ』の一言でこんだけ翻訳するねんから。
「さっすがウルトラさん。改良型の時計を持って帰って来たのね?」
慌てた様子で帰って来たウルトラさんを何事も無かったように迎える見た目はやり手の美人秘書。メガネをクニクニする仕草がが速くなっている。「どうだ、コレで勝負ありだ」と秘書のザーマスメガネから見えてくるようだ。
「ほいで、改良されたんって関西弁機能がついことかえ?」
「ジェアァァ!」翻訳機能ポチッ。
「関西弁だけちゃうで、
自慢の長持ち設計、なんと持続時間当社比2倍!」
「……って6分やがな、短ッ!」
「ジェアァァ!」
ウルトラさんは背中に秘書乗せて再び帰っていったのだった――。ウルトラの星ってどんだけ短いんやろか……。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔