ihatov88の小咄集
77秘密の暗号 5/25
(よかったら9話と45話見てね♪)
泥棒に入ったアニキとハチ。立派な日本の武家屋敷。部屋の数は両手で足りず、厩舎もあって庭の中にも池がある。お宝がいっぱいありそうなのに探してもいいものが見つからない、しかしアニキは事前にこの家の屋根裏に忍び込んだ時、天井裏で情報を聞いたのだ。
「金塊の置き場所は掛軸に書いてある」と。
そして弟のハチと忍び込んでたどり着いた床の間、立派な掛け軸にこう書いてあるのだ。
春風は夏空暑し秋晴の冬雲集う歳峠超え
「……なんじゃこりゃ?」
春夏秋冬一年峠超え?何の暗号か全くわからず頭を抱えるアニキ。コレさえわかれば巨万の富を獲られるかもしれないのに。
「うーん……」
「わっかりやんした、アニキ!」
そんなアニキをほっといて大きな声で喜ぶハチ。そんなに叫んだら見つかっちまうぞ。
「ハチッ、どこ行くんでえ?」
ハチは一目散に縁側の方へ走り出した。縁側から庭に出て、飛び石をピョンピョン飛び越え、池を跨ぐ小さな橋の真ん中で立ち止まった。
「アニキ!これですぜ、コレ!」
ハチはしたり顔で橋の擬宝珠(欄干の上についてるネギ坊主みたいなやつね)を擦ると、メッキが剥がれて中から光るほどの金塊が出てきたのだ!
「しかしハチ、何で分かったんでい?」
「だって、オイラそのまま読んだだけですぜ!」
アニキはハチの言うことがわからず掛け軸をもう一度見た。
弟がアホで良かったと思うアニキだった。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔