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ihatov88の小咄集

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79続・秘密の暗号 6/4


   (77の続きでっす)

「何者じゃ、不審者発見!」
 立派な武家屋敷に忍び込んだ泥棒のアニキとハチ.。ちょっとオツムの弱いハチのおかげで宝はみつけたが、これまたハチの大きな声で見張りの者どもに見つかってしまった。
「アニキ、追っ手が来やしたぜ!」
二人は追っ手に向けて蜘蛛の巣や煙り玉を投げては応戦しつつ入り口の門の前までたどり着いた。

 門には大きなカンヌキとそこにぶら下がる南京錠が。これでは追っ手に追い付かれるのも時間の問題だ。
「どうしやす、アニキ」
「慌てるでねえ、ハチ。見ろよ、これを」
 用意周到なアニキは門の鍵の番号をしっかり控えていた。

     七一八一

ザラ紙に書かれたメモを片手にアニキは南京錠についたダイアルをゴロリゴロリと回した。するとガシャッと思い音を立てて南京錠が外れた。
 しかし。
 カンヌキが外れない、取った南京錠の裏にこう書いてある。

    合い言葉を言え

 予想外の展開にアニキはフリーズした。形勢逆転喜び一転絶体絶命。追っ手の声が近づいて来た。ヤバイと思ったハチはアニキが手にしたままのメモをのぞいた。
「なんだアニキ、ちゃんと控えてるじゃねーですか?」
 ハチはカンヌキに手を掛けてこう叫んだ――。

     ヒーハー!

 するとカンヌキはスルスルと動き出し、門はひとりでに開いた。我に返ったアニキは驚きながらも咄嗟に最後の煙り玉を投げてすんでのところで脱出、近くに止めていた車で逃走に成功したのだ。

「ところでよ、ハチッ。何で合い言葉がわかったんでい?」
「さっき言ったじゃないすか。アニキがちゃんと書いてたって」
 ハチの言う意味がわからず兄貴は番号を控えたメモを見た。

   やっぱり弟がアホで良かったと思う兄貴だった。

作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔