ihatov88の小咄集
81セルフ リターンズ6/28
給油を済ませ快調に走る相棒。オレの旅はまだまだ続く、長い直線を走っていると再びエンジンがブスブス言い出した。調子が悪いんじゃない、ガス欠だ。思えばさっきから走りっぱなしだった。走ればガスは減るのは当然の成り行き。オレは走りながら一番近くにあるガソリンスタンドを見つけそこで給油することとした。
「へーい、マスター」
やっぱり誰も来ない。だってここはセルフなんだもの。 と言いながらもサービスより値段を優先するオレは2000円札を機械にいれて……、おっと、ポケットにさっきのジャラ銭が残ってたのだった。ジャラ銭持ち歩くオレってカッコよくない。なのでついでにジャラ銭もすべて機械に入れて給油を始めた。ここの機械はジャラ銭も取ってくれる。
タンクを開けてノズルをセット、入れる種類はもちろんレギュラー。トリガーを引いていざ給油!
ブビビビビ〜〜ン、カチッ
満タンになったところで機械はストップ。モニター見ると
1498円
こだわりのオレは端数が嫌いだ。指先に神経を集中させて、残りをチョロロっとトリガーをグイッ!
1500円
タンクを見るともういっぱい。無言で聞こえてくる相棒の声
「もうお腹いっぱいでーす」
どうだい、今度は完璧。相棒もさぞかし満足だ。
釣り銭機にレシートをピッ、機械は小気味良くそろばんを弾き、
ジャラジャラジャラ……
「あ、ジャラ銭入れてたの忘れてた……」
結局ジャラ銭そのまま帰ってきた……。ところで、オレの目的地はどこ……?
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔