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ihatov88の小咄集

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82秘密の暗号・続々7/8



 懲りない泥棒兄弟のアニキとハチ。今日の獲物はこれまた洋風な屋敷。家の中でも靴を脱がず、中央には大きなシャンデリアがあって、天蓋付きのベッドで寝るドレスの貴婦人が、パンが無いのでケーキを食べるような、そんなお屋敷。
 事前の情報収集でお宝があることをキャッチしたアニキは屋敷から執事が運転する車が出発したのを確認して、弟のハチと共に天井裏からなんなく侵入、シャンデリアの広間を横切り天蓋付きのベッドのある部屋を越え、この屋敷の一番奥にある主人の書斎に到達した――。
「ここだ、ハチ」
「へえ、何でやんすか?」
 アニキは書斎のデスク裏にある本棚を押さえた。
「この本棚を押すと裏に秘密の部屋があってそこに宝があるんだ」
 一生懸命本棚を押すが本棚はウンともスンとも動かない。事前に調査したはずなのにそれが何でか分からない。ふと横を向くと主人のデスクの上に一言メモが書いてある。

   仏語でたのめば開かん

「なんだって?知らねえよ。ボンジュール、セボーン?」狼狽するアニキ。ハチの前では威張るけどフランス語は全く分からない。そういやこの家の住民ってパンの代わりにケーキを食べる、そんな洋風な人だった。同じく机の上にある金髪の主人の写真がやけにニヤニヤしている。
「何見てんスか?アニキ」机を見て固まるアニキを見てハチが一言「なーんだ、簡単じゃん」
 鼻をさするハチ。ハチはアニキに変わって本棚を押し始めてこう叫んだ。

   ナンマンダブ、ナンマンダブ……

 すると本棚はゆっくりと動き出し、中の隠し部屋には黄金の仏像があるではないか!
「なんでわかったんでい、ハチ?」
「そうっすね、最近アニキに言われて漢字の勉強したんッスよ。さ、お宝持って帰りましょうで、アニキ」
「お……おう。そうだな」アニキはもう一度デスクのメモを見た。

   やっぱり弟がアホで良かったと思ったアニキだった……

作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔