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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  4話  『いつもの日常 どこか違う日常』

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「おいおい、さっきからナンノハナシだ。わけがワカラン」

青春街道?大人の階段?好感度?それに、ぬ…濡れ場って…一体?
唖然としている俺を尻目に、さらに、

「ぐふふ~☆つまり~春斗とミナタンの挙式はもう時間の問題ってコトだよ☆」

「………え?」

………………は?
かえでの思わぬ発言に、俺とミナの頭がフリーズしたようだった。
俺は今の発言を解析するため脳に再起動を要請し、回復を待った。
…ぶぅぅぅん。

よしオッケー、んじゃ解析しよう。
今こいつ何て言った?俺とミナの式…だと?…ホワイ?なぜ?ワケワカラン。
解析結果……不明。

「ほれほれ~言っちゃいなよ☆それでいつ式を挙げるつもりだい?ん~?」

「あははは~。そん時はご祝儀は弾んでやるぞ~」

かえでと茜はいつものようにコンビネーション技を発動させていた。

「な、何言ってやがるんだ?!さっきも言ったが俺とミナはそういう関係じゃ…って、茜はともかく…かえでッ!テメェは知ってんじゃねぇかよッ!!」

「♪♪♪~」

わざとらしく口笛を吹き、目線を逸らすかえで。
…って口笛吹けてねぇよ。
すると、急に冬姫にぎゅっと服の裾を掴まれる。…もしやこの展開は。

「ねぇ~ハルちゃん、…結婚…しちゃうの?ねぇねぇ~ホント?」

かえでたちとの不毛なやりとりに、冬姫がこれ以上ないくらい不安げな表情でおずおずと俺の顔を覗きこんできた。

ほら言わんこっちゃない。
こいつには冗談は通じないんだから…はぁ。
しかし、この娘には学習機能というものがないのであろうか。

「…しません」

「ほ…本当?」

「あぁ。お前もなぁこんなの本気するなよなぁ。こいつらのいつもの冗談でからかってるだけなんだから。冬姫、そろそろ学習しようぜ??だから、ミナも気にするなよ??」

「………」

「……ミナ?」

ミナの返事がなかったので、俺はミナの顔を覗きこんでみる。
って顔が真っ赤?!

ミナは顔を真っ赤にしたまま、ぽけーっと身じろぎひとつしていなかった。

「ありゃ、この娘にはちょっと刺激が強かったか?ごめんね~ちょっとおふざけしすぎちゃったみたいだな」

…ちょっとじゃないだろ。

「え…あ…いいえ。…別に、大丈夫です」

やっと正気に戻ったミナ。

「あははは。ホントわりぃ。ちょっとでも馴染めるよういつもみたく振舞ってみたんだけどな」

あぁ、そういうことか。
こいつらなりに気を遣ってくれてたんだな。

「まぁ、茜の振る舞いはし・げ・き☆が並じゃないッ!言わば18禁~☆」

「ちょっと待て。テメェが一番ノリノリでやってただろうが!禁止用語も使いやがってよ~。テメェがこん中で一番の危険分子だぁぁッ!」

俺はビシッとかえでを指差す。

「何デスと!?それはさすがに言いすぎでないかい?あたし、そこまで危険人物じゃないよ!!この可憐で清楚なかえでさんを危険分子扱いするとはいい度胸してるよ」

「可憐で清楚ぉ~?それは誰のことだぁ?そんなヤツがいるなら是非会ってみたいもんだぜ」

「だから~ここにいるじゃん。ここ、ここ☆」

かえでは自信満々に自分を指差す。

「ハハハ。テメェが可憐で清楚だと?笑わせるな。不純で粗暴の間違いじゃないのか?ん~どうだ?図星だろ?だはははは」

「ぐ…ぐぬぬぅ~」

思い当たる節があるのか、言葉に詰まり黙り込んでしまうかえで。

「その顔は図星のようだな。ハハハ。伊達に昔から幼馴染やってないってこった。可憐で清楚になるにはいささかスキルが足りなかったようだな」

「く…。こ、このぐーたら魔人の春斗の分際でよくもあたしを~!許さん!くらえッ!」

かえで得意のマッハパンチが繰り出された。が、

「甘いッ!」

俺は難なくそれをかわす。
…こんなもん俺にとっては手をとるかのように見え見えだ。
これぐらい避けるなんぞへのへのかっぱって感じだぜ。

だが次の瞬間!!

「ふがっ!」

かわしたはずのかえでのパンチが俺のみぞに入った。
…なぜだ!?

そんな俺の疑問に、かえでは腕組みをし高笑いしながら答えた。

「あっはははは。どうやら甘かったのは春斗の方だったようだね。あたしを侮るからそうなるのだよ☆だから、あたしのちょっとした変化に気づかなかったんだよ」

勝ち誇るかえでを尻目に、俺は不敵に笑ってやる。

「やるな。それでこそかえでだ!そうでなくちゃ面白くない!いくぞッ!」

「よっしゃ、かかってこーい☆」

俺は再び身構えたかえでに向かっていった。

「あ…あの~、と、止めなくてもよろしいんですか?」

「ん?あぁ、まぁ大丈夫っしょ。こんなのいつものことだしなぁ。あはは」

「そ、そうなんですか」

「もう~!ハルちゃんもかえちゃんもホントしょうがないな~」

そう言って、冬姫はパタパタと俺たちの方にやってくる。

「あははは。まぁ、あたしたちいっつもこうやって馬鹿ばっかやってるけどミナちゃんも慣れれば絶対楽しいから。だから改めてこれからよろしくな」

「あ…はい!こ…こちらこそ、よ…よろしくお願いします」

茜とミナは互いに握手を交わしていた。

「あぁそうそう。今はちょっといないけど暁と凍弥ともよろしくしてやってくれ。でも、追加で言わせて貰うと暁には極力やさしくしない方がいいぜ。あの馬鹿そのやさしさに勘違いして暴走すっから。…朝みたいに」

「…それは、…困りますね。わ、わかりました。気をつけます」

ミナは朝のことを思い出していたのか、困惑した表情をしていた。

「でも…あははは」

「え…あのぅ…ど、どうかしましたか?」

すると茜がミナに耳打ちで何か言っていた。
それを聞いたミナはなぜか顔が真っ赤になって、やかんのようにピーッと湯気を出していた。…どうしたんだ?

そして、この日の昼休みは俺たちの不毛な争いによって昼休みの大半を費やしてしまいとても慌しい昼食となったのであった。




「じゃ、連絡は以上。みんな気をつけて帰るように。よしHRを終了するぞ。起立、礼、解散~」

担任の号令でHRが終わり、やっと俺たち学生は学校という呪縛から解き放たれるのだ。

「やっと終わったぜ。今日も一日勉学に努め多忙な一日であった」

「もう~また嘘ばっかり~。ハルちゃんほとんど授業中は寝てたでしょ~。私が起こしても全然起きてくれなかったんだよ~もう」

冬姫がぷんぷんと怒りつつ呆れた表情で、やれやれと肩を落とす。
しかし、冬姫のそんな顔も何だか可愛く見えてしまう症候群にかかった俺は、その表情でさっきまでのダルさがどっと吹き飛ぶのであった。

「あははは。悪い悪い。朝からホント身体がダルくてさ。これからは冬姫が起こしてくれたらちゃんと起きるからな」

お詫びに冬姫の頭を撫でてやる。なでなでっと。

「ふにゅうぅ…も…もう~またそうやって誤魔化すんだから」

と言いつつも冬姫は嬉しそうな表情を浮かべる。

「はいはい。ご馳走さま~。お二人のお仲の良さは十分わかったからあんまりマジマジと見せ付けてくれるなよ」

茜がにたにたしながら俺と冬姫を交互に見つめる。

「べ…別にね…そういうことじゃ…ふにゅぅぅ~」

そう言うと、頬をぽっと紅潮させる。