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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  4話  『いつもの日常 どこか違う日常』

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そして、誰もいなくなり俺一人取り残されるのだった。

「…何なんだ、一体」

やり場のない手をポケットに押し込むとそこには飴玉がちょんと空しく入っていた。
結局、何のために連れてこられたのかわからず仕舞いで釈然としないまま、飴玉を舐めながらトボトボ一人で教室に戻るのであった。

その時俺は思った。飴玉には人を微笑ますものだと…。





「…あ」

っという間に午前の授業が終了してしまっていた。
しっかしホント朝から体がダルいぜ~。これも昨日の影響のせいだな。

「ふぁぁぁ……あ?」

あ、そういやミナは?
チラっとミナの席の方を見てみる。
するとミナの席の周りにはたくさんの人でいっぱいだった。…ミナのヤツ大丈夫か?

俺が心配してミナの様子を見てみる。ミナはまだおろおろして恥ずかしがっているがなんとか話そうとしてクラスに溶け込もうと頑張っているみたいだった。

おぉ~人気者だなミナ。よかったな~。俺は嬉しいよ。
ミナが何とかクラスに溶け込んでたことに安堵すると、くたーっと机に突っ伏す俺。

「ふぁぁぁ~っ。でも、よく寝たな」

「もう…、ハルちゃんったらほとんどの授業寝てたよね。ダメだよ~ちゃんと授業受けなきゃ~」

冬姫が俺の席までやってきて、かいがいしく俺を嗜める。

「うーん。しかしだなこればっかはどうしようもないんだ。たとえ俺に眠る意思がなくても睡魔という悪魔が俺の脳を侵し、蝕んでしまうのだ」

「もう~!また意味不明なこと言う~」

冬姫は呆れた表情で肩をすくめていた。
…っていうか、俺の隣でスヤスヤ眠ってるかえでへの指摘はないのか?

「あっははは~!わ、わかる。た…確かにそうだよな。いやしかし、ホント相変わらず春斗って面白いこと言うよな。あはははは」

俺の言葉に茜は、俺の肩をバシバシと叩いて腹を抱えて笑っていた。

「お~わかってくれるか!!さっすが我が親友、茜だ」

「もう~茜ちゃんまで~!もう~しょーがないな~」

「おい冬姫、『もうもう』言ってると今に牛になっちまうぞ~?」

「な…ならないよ~。……たぶん」

冬姫は急に不安になったのかおろおろし、顔を曇らせていた。
もしかして、牛になった自分を想像してるのかもな…くっくっく。
冗談のつもりだったがこうも本気にするとは、ホントからかいがいがあるぜ。

「牛…牛…牛…私が牛に……。あうう~!牛やだぁ~!!ねぇねぇ、茜ちゃん。大丈夫だよね~私、牛になんかならないよね~ねぇ!?」

不安が頂点に達し、まるで無垢な少女がガセ話を聞かされて真意が定かでなくなり思わずお母さんに咄嗟に聞くが如く茜に聞いていた。

って、そろそろ冗談に気づけよ…。

「あははは。冬姫ってホント可愛いな~。大丈夫だ、牛になんかならないって。あれは春斗が冬姫をからかっただけだから」

「ほ…ホント?」

目をうるうるとさせて、上目遣いで真っ直ぐに茜を見つめていた。

「ぐはっ!!」

こ…これはッ!?

「可愛い…可愛すぎる。女のあたしでもこれはかなりくらっときた。恐るべし冬姫…」

茜は冬姫の悩殺フェイスに陥落しかけていた。
そりゃそうだ。あの冬姫のうるるんな瞳かつ無垢で純真な表情で真っ直ぐに見つめられる…これだけでかなりの破壊力がある。コロニー破壊も容易だ。

下手をすると理性崩壊…、いや人格崩壊も起きかねん!!
さらに恐ろしいことに、これは男にだけに止まらず女にも多大な影響力を持つのだ。
ひとたび冬姫がこの表情するものであれば、同姓にもかかわらず秒殺され、脳内を冬姫色に染め、みんな口々に『好きだー!』と叫び抱きつこうとしてしまうのだ。

中には本気で交際を申し込む者までいるくらいだ……。あぁ恐ろしい。
これが人を惑わしてしまう魔性の力なのか?!…そうなのだ!これが冬姫の力。
『冬姫マジック』なのだ。

そう、冬姫は魔性の女の子だったのだ~。

「ハルちゃん、また変なこと考えてる~」

「なぜわかる?!」

まさかこいつもエスパーだったのか。もしやこれもこいつの力なのか?
うーん、冬姫…我が幼馴染ながら侮れん。

「ん~春斗は意外とむっつりだからね~☆みんな気をつけないとね~☆」

「いきなり起きてきて話に入ってきておいてそれはないと思うぞ!?」

「あはは~。春斗に近づくな~襲われるぞ~!冬姫も逃げろ~」

「え?…えぇ?」

かえでと茜がわざとらしく逃げ、冬姫がおろおろしていた。
ふざけてるのは見え見えなんだが、なんかすごく悲しくなるこの気持ちは気のせいだろうか?

「まぁそれはいいとして…」

「…否定しないんだ。まぁ否定しないとこが春斗らしいけどな」

どういう意味だよ、それは…。
俺はがっくりと肩を落としつつも話を続ける。

「そろそろ飯にしようぜ。早く行かないと学食混むぜ」

「あぁ~それもそうだな。話に夢中で忘れてた。…腹減った」

そう言うと、茜はお腹を擦る。

「あたしもお腹すいた~。あかね~早く行こうよー!!」

駄々っ子のように茜の制服の裾を引っ張って急かすかえで。

「うん。そうだね~。でも~その前に、ミナちゃんも誘わないとね~」

「そうだな。んじゃ俺呼んでくるわ」

「お~行ってら~。ちゃんとミナタンのフラグ立ててこいよ~☆」

「フラグ言うな!」

そう言うと、俺は席を立ち、ミナのいる席に向かう。
ミナはまだクラスの女子と話してるようだった。

「おぉ~すっかり人気者だなミナ」

「あ、ヒナちゃん」

ミナは俺の方を向いて、にこやかな笑顔を見せた。

「話し中悪いな」

一応謝っておく。
…俺って紳士?

「あ、いえ、別にいいですよ。それで、何でしょうか?」

「ミナは昼飯はどうするんだ?もしかして弁当とか持ってきたりしたか?」

「いいえ。持ってきてないですよ。それに、お昼はヒナちゃんたちとご一緒するつもりでしたので」

「そうか。んじゃ俺たちと一緒に学食に行こうな」

「学食…あ、学生食堂ですね。はい、わかりました。では、ちょっと準備しますので待っていてくださいね」

「おう」

そう言うとミナは、机の上に出ていた教科書やら文房具を片付け始めた。
別に片付けなくても盗られやしないって。この俺なんか常に出しっぱだぜ。
そして1分も経たない内に片付け終わり…。

「では、行きましょうか」

「おう」

んでミナを連れてヤツらのいる席に戻る。
…が、何やら茜とかえでがにやにやと笑っていた。

「んじゃ、行こうぜ。…って何だよお前ら、俺の顔見てにやにやなんぞしやがって。俺の顔に何かついてるか??」

「いやね、もう春斗が何て言うかこう青春街道まっしぐらって感じでさ。それを見ていてあたしたちはこう嬉しくもあり寂しい気持ちでもあるわけよ」

「はぁ?何だそれ?」

「ぐふふ~☆春斗ったらもう一体どのくらい大人の階段を駆け上がったのかな☆?おそらく過去からの好感度が一気に溢れ出し、それはもうすごい濡・れ・場☆が展開されたにちがいない」

≪ザワザワ≫

クラス中が俺に向けて非難の視線を集中させる。
…って、本気にするなッ!

「え?え?どういうことなの?」

冬姫も話しについていけなくておろおろする。