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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  4話  『いつもの日常 どこか違う日常』

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「まぁ、それはいいとして。ほら、ミナまだ自己紹介の途中だろ。早く済ませて来いよ」

「はい。頑張ってきます」

ミナは再びパタパタと教卓の前まで駆けていった。

「ふふふ♪今のでミナタンの春斗への好感度がまた上昇していくのでした☆」

「って変なナレーションはやめい!」

「むぅ~」

ぎゅぅぅっ!!!!

「いててててっ!痛いって、何だよ急に?」

冬姫が俺の背中をぎゅっと思い切り抓ってきた。

「何でもないよ~だ。ふん!」

ぷいっとそっぽを向いてしまう冬姫。
何なんだ?一体…。

こうしてミナを加えた新たな波乱の学園生活が今、開幕したのだった。





HRが終わると、早々に暁と凍弥に何故か俺は捕獲させられた。
んでもって互いに暁と凍弥はキョロキョロと辺りを見渡す仕草をすると、互いに目を合わせて『ここでは人の目がつく。誰もいないとこに移動だ』とキランと目を光らせ俺を引っ張っていく。

…なんか、この状況を楽しんでいるようだ。
それでもって為すがままに連れてこられた先は、この階にある空き教室だった。

「一応聞いておこうか。何のつもりだ??」

俺は取り敢えずは2人の話を聞こうと思い、腕組みして次の言葉を待つ。

「まま、そんなこと言わずに春斗君♪ささ、ここに座って楽にしてくださんな。なんなら肩でもお揉みしやすぜい」

暁は気色の悪いほどの笑顔で俺を近くにあった椅子に座らせ(強引に)、そんでもって手をわきわきとさせながら俺に迫ってくる。

「って気色悪ぃわボケ!!」

「あわばぁッ!!」

顔にぐーパンチを食らわすと、どこぞの救世主伝説の哀れな外道ようなやられ文句を吐きながらその場にうずくまる暁。

「…いてぇな。人がせっかく『あのクールでナイスガイな暁さんが素敵に微笑んで親切に肩揉みしてくださいましたわ』的なシチュで優しく迫ってやったのにその態度は何だ。不満でもあるのか」

「知る、かッ!!そんでもって不満もありまくりだ」

「これのどこに不満があるってんだ??」

「全部、だッ!!俺を有無を言わさず教室から拉致っておいてこんなとこに連れてきておいた挙句に何が親切に肩揉みだ。ふざけるのも大概にしやがれ」

俺は無言でゲシゲシと暁に蹴りを入れる。

「まぁまぁそう怒りなさんな、ヒナタン。こいつに悪気はないんだ」

「…凍弥、お前」

涙を流しながら蹴られる暁は、まさかのその凍弥の言葉にばっと見つめる。

「ただ、大馬鹿なだけなんだ。許してやれ」

「ってこらッ!!誰が馬鹿だ。ったく感動して損したぜ。俺の感動今すぐ返せよ、今すぐよ」

「ほら、返してやるよ。今度は大事にするんだぞ」

俺はさっと飴玉を暁に渡してやる。

「おお、悪いな、春斗」

ソレを嬉しそうに受け取り、ぽんと口の中に入れる。…単純なヤツ。

「ってしまったぁぁああッ!!軽く馬鹿にされてんのに気がつかずに思わず反射的に食べちまったじゃないか。これじゃ弄ばれてるだけじゃねぇか」

「だってその通りだろ。ってか飴玉で機嫌直すなんてお前いくつだよ??今時の子供でもそんなんで喜ばんぞ」

「何ぃいいいッ!!そうなのか?!俺はそうだと頑なに信じてったってのにこんなに早くに見事にそれを崩されちまった。何ていうことだ。…春斗、お前は俺の純情な少年心に傷つけてしまった。さぁどう責任をとるつもりだ??」

びしっと指を指し、その馬鹿野郎はまるで自分が悲劇のヒロインを演じてるかのようなリアクションで問いただす。

しかし、俺はそんなもん一切気にせず凍弥に向き直る。

「それで、俺を何でこんなとこに連れてきた??」

「??そうだな。もうそんなに時間もないし急いだほうがよさそうだな」

「って無視かよッ!!」

と一人ツッコミを入れる暁。

「うるせぇな。ちょっと黙ってろ話が進まん。お前今からしゃべるの禁止な」

「えー」

と言いつつも律儀に口を塞ぐ暁。
…用は使い方次第だな。

「単刀直入に聞こう。アミーナ嬢とはどんな繋がりなんだ??」

「ミナ??どんなも何も昔からの知り合いだが。昔ちょっとこの街に住んでいて、それで友達になって、んでもって家族ぐるみの付き合いの繋がりだ」

「なるほどな。アミーナ嬢とは家族公認の付き合いというワケか」

「いや、微妙に意味違うから」

「んだとぉッ!!もうそんなところまでこぎつけてやがったのか。卑怯極まりないぞ、貴様。お前一人で抜け駆けしやがって…俺は今、猛烈に悲しくなった。そして、俺の今日の占いは最下位だった。俺の中の天気予報は大雨洪水、強奪純愛模様だぜ」

何だそれは。
途中からもう何が言いたいのかさっぱりだぞ。
…っていうか全部か。

「いやだから違うからッ!!ミナは俺にとって昔から妹みたいなもんなんだよ。ってお前今しゃべったろ??口を塞げ馬鹿者」

「ほうほう、なるほどな。つまりは、近々アミーナ嬢を妹として引き取り家族にしたいっていうワケだな」

「お前、もう俺の話聞いてないだろ。てか楽しんでるだろテメェ」

「ははは。さて、どうかな」

くすっと不敵に微笑む問題児。

「さて、そろそろ戻るか。授業も始まる」

そう言って凍弥は教室に戻ろうとする。
…って待て。

「おい、待て。結局何で俺はここに連れてこられたんだ??質問しかされてないぞ」

当然の疑問を戻ろうとしているこいつにぶつけてやる。

「任務は無事遂行された。何の問題もない。以上だ」

「いやだからな…」

「さぁ行くぞ。俺たちの学び舎へ。ティチャーが我らの帰りを持っている。遅刻は厳禁、走るぞ」

すると、そこで暁ははっと何かに気がついたようだった。

「俺は今、大変なことを思い出してしまった」

何だ唐突に。
まぁ、どうせいつもみたくくだらんことだな、うん。

「せっかくこのHR終了後という貴重な時間を割いてまでこいつを連れ立ったのに、まだアミーナちゃんの生い立ちからプロフィールを聞き出してないじゃねぇかッ!!これじゃ、せっかくのチャンスもアプローチも出来ないじゃないか」

「いや、それ以前にそんなもん俺は知らんから」

「何だとぉッ??開口一番に俺の心は踏みにじられた挙句に、そんでもって言語道断に口まで塞がれたのにそんなもん知らないだと春斗さんよ。それじゃ俺はただの哀れで取り越し苦労なアホなヤツみたいじゃないかよ」

「その通りだ。この阿呆」

「うぉぉおおおお~ッ!!」

頭を抱え塞ぎこむ暁。
っていうか、ミナ目当てだったのか。これは防衛包囲網を張らねばならんな。
相手は暁だ。油断も隙もない。俺がこの悪の魔の手からミナを守ってやらねば。

「おらぁ、お前らそろそろ行くぞ。友情を育むのはいいがそれで止めておけよ。ほれ、暁寝てないで行くぞ」

そう言って暁を引っ張って、はははと笑いながら走り出す凍弥。

「って待て。俺まだやらねばならんことが…ッ!!は、離してくれ、凍弥。おわぁぁあ~!!足がつる~」

「いいか。青春は待ってはくれないんだぜ。今この時もな。それを満喫したくば今は迷わず走れ!!少年よ」

「そうか。それは仕方ないな。俺も迷わず走るッ!!」

そう言ってもの凄い勢いで走り去っていく馬鹿2人。