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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  4話  『いつもの日常 どこか違う日常』

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「あっははは。それは羨ましいな、謎の美少女転校生と平凡学生ヒナタンの秘密の相関図か~。うんうん、実に興味深いじゃねぇか」

「ってお前らさっきからうるせーぞ!あと凍弥、ヒナタン言うな」

俺は隣のかえで、その前の暁、左斜め前の凍弥にガンを飛ばしつつ黙らせる。
……ホントにこれも偶然だよな。…あははは。

「どうしたんだ?さっきから急に笑い出したり黙ったり。…トイレか?」

「違うわッ!」

俺は前を向けと言って茜を前に向かせ、俺もミナの方を向く。

「………?」

おっ、目が合った。
ミナは俺の姿を見つけるとにこっと微笑んだ。

「ほらほら、静かにしろ~煩くて自己紹介できないだろ~」

先生がそう言うと、パンパンと手を叩いて静かにしようと注意し始めた。

「はい、アミーナさん、どうぞ、自己紹介を」

「あ…はひぃ!」

するとスッとミナが前に出る。…ん?なんかガタガタ震えてるぞ。
大丈夫か?

まぁ、人見知りするミナがこんだけの人数に視線が集まればかなり緊張してるんだろう。
そして、ミナが一礼し口を開く。

「こ…ここっ…今度…ここっの…がが学園っに…てて転校するる…こととに…ななな…なりまっしぃた…」

…おいおい、ホント大丈夫なのか。
さっきからどんどんミナの顔が青ざめていってるぞ。

「ねぇ、ハルちゃん。ミナちゃんなんか様子がおかしくない?」

後ろにいる冬姫が心配して俺の背中を指で小突いてくる。
まぁ、ミナが人見知りってことは俺しか知らないからな。

「そうだな、さっきからみるみる顔が青ざめてるし、声も震えてる。なぁ、春斗大丈夫なのか?」

茜も心配して俺に問いただしてくる。

「まぁ、大丈夫だろ?きっとミナもすごく緊張してるんだよ。ちょっとシャイなトコがあるから」

と取り敢えずこう答えておく。

「それならいいけど…」

納得したのか再び二人とも前に向き直る。
…んで、それはそうとミナはというと、

「わ…わわ…私の…私…私のななな名前はぁ……名前は………ぅぅぅ」

おろおろわたわたしていたミナだったが、急に黙ってしまう。
すると担任は心配したのかミナに駆け寄る。

「ア…アミーナさん?どうかしましたか?」

「い…いえ。…うぅ」

よく見るとミナは、目に涙を溜めて今にも泣き出してしまそうではないか。
…ってこれはかなりヤヴァイんじゃ。

と俺がミナとちょうど目と目が合った。その瞬間、

「ヒナちゃーーん!!」

ミナがものすごいスピードでピューンと俺の席目掛けて駆け出してきた。

「…ふぇ?」

担任もそれにクラスのみんなまでもが状況が掴めず、目が点になっていた。

「ヒナちゃんっ!!うぅぅぅ…」

気が付くと、ミナに泣きつかれていた。

「おわぁっ?!っておい…ミナ。まだ自己紹介中だろ」

「だって、だって、やっぱり怖いんだもん。でもね私ね、頑張ろうと思って昨日あの後、お家で何回も練習したんだよ??お家では上手く出来たんだよ~本当だよ??みんなだって『上手』って褒めてくれたもん」

それは見知った人たちだったからじゃ……とツッコもうとしたが止めておいた。

「うおぉおおあああああッ!!!転校生、それも美少女に抱きつかれるなんて…あぁ、なんて…なんて羨ましい、羨ましすぎるんどぅわああああああぁあああッ!!!」

突然、馬鹿が頭を抱えながら席から立ち上がり大声で叫んだ。

「やれやれ、まぁた馬鹿が始まった…」

肩をすくめ呆れ口調でそう口から洩らす茜。続いてクラスのみんなも同じように。

「おい暁、それぐらいにしとけ。みんな呆れてるぞ」

「うるせー黙れラブ男ッ!貴様はなぁ罪深きとんでもねぇ鬼畜野郎なんだよ」

「はぁ?それはまんまお前のことだろ!俺に罪を擦り付けるなッ!阿呆が」

「うがぁっ!」

俺は暁の脳天に教科書の角を下に向け一気に振り下ろしてやる。

「いだだだッ…。くぅ…罪の自覚なしときたか。ならば教えてやろう!そして、これを聞けばわかるだろう…どれだけ貴様の罪が重いかを!いいか!よく聞けよ。お前の罪すなわち、そこにいる転校生美少女にしてお前の知り合いでもある、この美少女を…この純粋無垢で可憐で清楚ないたいけな少女を手篭めにしたことだあああぁぁああああッ!!」

「は?」

俺はあまりにも突拍子もないことに頭がついていかなかった。

「見てみろ、この娘をッ!!ロリ、うる目、ツルペタ、ニーソ、そしてキュートな帽子…。か…完璧だ…☆」

ナニが完璧だ!
そうだ、こいつには思い切りぐーでツッコんでやろう。そうしよう!

「か…完璧だぁ☆ミナタン萌え☆グッジョブ!!」

ついでに目をキラキラ輝かせてるこいつも。

「は…!!突然のことに思わず呆気にとられてしまった」

「おお~!せんせーふっかあああぁぁあああぁつ!技ゲージMAXだ~☆」

意味不明かつ馬鹿なかえではほって置いて、担任がようやく戻ってきたようだ。

「おぉ?おい、雛月、お前このアミーナさんとは知り合いだったのか?」

「え…あ、まぁ」

俺は困惑して、頭を掻いた。

「くっくっく。知り合いってどころかもうこのままイチャつきだしそうな勢いですぜ~お二人さん♪もしかしてそういう仲なのかな?にひひひ」

茜は不敵に気味の悪い声で笑い出すと、俺をからかっているのか肘で小突いてくる。
ってやめろ。殴るぞ。

「そんな……こと……うぅ」

ミナは頬を赤らめて、チラッと上目遣いで俺を見る。
…ってなぜに赤くなる?!

「そんなわけあるかぁ。って、そろそろそのにやけた顔で小突くのはやめないか?ってこら、いいかげんにしないとぐーで殴るぞ、ぐーで」

「おう~こわっ!既に独占欲のオーラが全開だ~」

「「あはははは」」

クラスみんなが一斉に笑い出した。

「あ~か~ね~」

何だか俺が泣きたくなってきた。
…あれっ、この頬に伝うモノは一体何だろうね?

「悪い悪い。ちょっとからかいすぎた。って泣くなよ?!春斗」

「な、泣いてなんかないわい!」

「ははは。それでこそ春斗だぜ!」

「意味がワカランって!」

俺はやれやれと肩を落として、苦笑した。

「あの…ヒナちゃん、ごめんなさい。私のせいでこんなことに…」

ミナはしゅんと申し訳なさそうに今にも泣き出しそうな顔をして、ぺこりと頭を下げた。

「別にいいって。こんなの俺らにとっては日常茶飯事だし、ミナだって人見知りなのに昨日から練習して頑張ってたんだろ?ならそれでいいじゃないか。練習してもダメだった。でも、これで終わりじゃないだろ?これからまた努力して頑張ればいいじゃないか。そうだろ?」

「あ……。はい、そうですよね!」

そう言うと、ぱぁっと向日葵笑顔を取り戻すミナ。

「だろ?だから、頑張れよ」

「はい!」

さっきまで沈んでいた顔がぱぁっと明るくなり、ミナはにこやかな表情を浮かべていた。
うーん。しかし、我ながら今、かなりいいこと言ったよな。

「春斗、今、『俺なんかいいこと言ったんじゃね?』とか思っただろ?」

「な…ナンノコトかな」

図星を突かれ、言葉に詰まる俺。
くそ~何でわかったんだ?…エスパーか?