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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  4話  『いつもの日常 どこか違う日常』

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「それにね、かえちゃんには料理のモニターやってもらってるんだよ~♪新しい料理に挑戦したいなって思ったときとかに試食してもらってるよ♪」

「ほぉ~それは知らなかったな。そうなのか?かえで」

俺は今ちょうど3杯目のご飯をおかわりをしようとしているかえでに訊ねる。
って食いすぎだろ!

でも、そうか。
明日香の創り出すあの美食家をも唸らす極上の料理の数々は、この自称、底知れない腹の持ち主、美食ハンターかえでによって、今までこうやって食卓に並び、俺たちの心と身体に腹を満たしてきたんだな。

ということはだ。
明日香はもちろん、かえでのモニターがなければこの素晴らしき芸術の数々は世に出されることなく、その秘められた腕も可能性もずっと眠り続けていたに違いない。

そんなの絶対勿体ない。いや、ホントその秘めたる力に目覚めてくれてよかったぜ。
そのおかげで今の充実した食生活がこうやってあるんだもんな。
いや、明日香様々だ。

そして、かえで。俺は初めてかもしれないくらいお前を尊敬するぞ。
今までずっと、社会性ゼロでアニメやゲーム以外何の取り柄もないと思っていた俺を許してくれ。そうやって俺がうんうんと感心していると、食べるのを一時中断し、途端ににんまり笑顔と化したかえでが、

「ん?あぁうん、そうだよ。明日香が料理のモニターしてくれる代わりに食費代半額にしてくれるって言うもんでね」

「「………」」

「料理のモニターするだけで明日香の美味しい料理が食べれるし~、そのうえ食費代半額にしてくれるなんてこれはもう一石二鳥☆引き受けないわけにはいかないでしょ~☆まぁたまに失敗しても食べさせようとするけど、まぁ明日香の場合はそこまでひどくないからあたしは食べちゃうんだけどね」

「「………」」

前言撤回。
ダメだ、こいつ。早くナントカしないと。

「あっ、でも、何でも美味しく食べてくれて嬉しいっていうのはホントだよっ!…うん」

すかさず自らフォローする明日香。
すると、冬姫が、

「うんうん♪それちょっとわかるな~。何でも美味しく食べてくれるとすごく嬉しいし、ホント作ってよかったなぁ~って気持ちになるよね~♪そうなるともっと美味しい料理を作ってあげよう~、美味しい料理を作ってもっと喜んでもらおう~って自分のやる気も上がるし~♪」

そう言って冬姫は乙女心をときめかせるかのようにキラキラと目を輝かせていた。

「そういうもんかね~」

「そうなんだよ~。女の子は結構そういうの気になるもんなんだよ~。だから、ハルちゃんもこれからはこのことを頭に入れてちゃーんと味わって食べるんだよ~。わかった~?」

「へいへい。以後気をつけますよ~」

「素直でよろしい~♪あはは♪」

俺の頭をよしよしと子供をあやすみたいに撫で、にこ~っと微笑む冬姫。
ってやめい!何だかすげー恥ずかしいし照れるじゃねぇか。
俺が恥ずかしがって冬姫の手から逃れると、俺の表情を読み取ったのか、みんな『あはは』と笑い出す。

…なんかこうしてみると、昨日のことが何だかすげー非日常的だったと思える。
まぁ、実際には非日常なんだろうけど…。
でも、ホント嘘みたいだぜ。こんなにもいつもと変わらないと昨日のことがなんか夢の出来事だったかのように思えてくる。

というかあれはすべて俺の幻覚だったと、夢だったとそう思いたくなるくらいだ。
まぁ、実際には夢でなかったわけだが…。
まぁ後はなるようになるさ。…そうさ、今はそれでいいな。

俺は勝手にそう納得すると、残りの味噌汁を一気に飲み干す。
…ぐっ、具が残ってた。

「ねぇ、お兄ちゃん。そういえばだけどさ、ミナちゃんって今日からお兄ちゃんと同じ学園に通うんだよね?」

「あぁ、そうだが」

「ミナちゃんって朝はどうするのかな?みんなと一緒に登校するの?」

「いや、後から家の車で行くって昨日言ってた。だから、ミナと会うのは学園でってことだな」

まぁ無事にたどり着けるとは思うが、ちょっと心配だな。

「そうなんだ。でも、明日からはみんなで登校できるんだよね?」

「あぁ。それはミナも楽しみにしてたぞ」

おそらく今日の夜は興奮して眠れないにちがいない。
…ここにいい見本がいるからな。

「ボクも楽しみだよ~♪えへへ~なんかわくわくしてきたよ♪あぁ~これでボクも同じ学園ならなぁ~」

明日香がちょっと残念そうな顔になって、がくっと肩を落としていた。

「ふふふ~♪大丈夫、来年は明日香ちゃんもこっちの学園なんだからね。だから、ほんの一年の辛抱だよ」

「そうなんだけどね~。一年は長いもんで短いものってよく言うけど、実際長いんだよね~」

そう言いながら、明日香は机の食器を片付け始めて、流しに持っていく。
冬姫も手伝うと言って流しに行き、俺とかえでだけが残される。
なんか落ち着かないのでかえでと話でもしようと、隣にいるかえでの方を振り向く。

「もぐもぐ」

ってまだ食ってんのかい!!
しかも、饅頭!?こんなもんあったか??
などと俺がそんなことを考えてかえでを見てると、

「??……あげないよ?」

「いらんわ!!」

と思わずツッコんでしまった。
そんなに物欲しそうな顔してたか俺?
とそうしてる間に明日香と冬姫が洗い物を終えて戻ってくる。

「でも、一緒のクラスになれるといいよね~?ねっ、ハルちゃん?」

「ん?何の話だ?」

いきなり話を振られてもワカラン。

「ミナちゃんだよ。ミナちゃん」

あぁ…そういうことか。

「でもな、それは無理だろ。俺たちの学年だけでも20クラスくらいあるし、中々厳しいんじゃないか」

裏で根回しするとか、裏で金を取引するとか、裏で脅すとか。
…って非道ばっかだな。

「そうか~。やっぱりそうだよね~」

残念そうな顔でうつむいてしまった。

「まぁ、同じクラスになれるように祈ってやろうぜ」

まぁ、そんなもん奇跡かなんか起こらないと無理だろうけどな。
そんなこんなで学園に向かうのであった。





「というわけで、転校生を紹介するぞ」

「ははは…」

ホントに奇跡起こっちゃいましたよ…。
どうなっちまったんだ、世界。
奇跡ってこんなにも簡単に起こっちまうのか??

「よかったね。ミナちゃんも一緒だよ」

後ろの席の冬姫がきゃいきゃいと嬉しそうに俺に話しかけてくる。

「ははは…、ま、まぁな。よかったよな」

……偶然…だよな。…この席順。
朝登校してみると急に席替えをするということになっていた。
まぁ、最初は番号順での配列だからな。

そんで俺は適当にくじを引いたわけだ。そして、この席になったのだ。

「へぇ~。あの娘がこの前話してたミナちゃんか」

俺の前の席にいる茜が振り返って聞いてくる。
…この配置も偶然だよな。

「ホント可愛い娘だな~。とても春斗の知り合いには全然見えないぜ」

「ほっとけ」

「何だ何だ?あの娘、春斗の知り合いなのかよ?」

「ん~そうみたいだよ☆ホント春斗って節操がないよね☆」

かえではにやりと意味深に笑ってみせた。

「くっそおおおぉぉおおおッ!!!春斗、テェメー!!!いつもテメェばっかずりぃぞ!!!!こらぁ!!!!!」