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堕天の勇者!? 〜魔王はじめました〜

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三章 魔王ばれました


「なあカリン、ほんとにこんなところにレーヤはいんのか?」
「うん、カリンの魔法に間違いはない。疑っているなら氷漬けにしてその身をもって教えますよ。ガンドロフ」
「そんな理不尽な!?」
レーヤの居場所わかった後エリーたちは急いで装備をそろえて魔王城に来ていた。メアもついて来たがってたが流石に連れてはこなかった。
「しっかしレーヤもなんの目的で魔王城にいるんだか」
「ほんとよね。まあ、それもレーヤに直接聞けばわかることでしょ」
「それもそうだな」
魔王城にいるというのにエリーとガンドロフの会話からは緊張はみられない。だがそのとき
「なにかくるわ!」
エリーの一言で全員が武器を構えた。
「"暗黒空間"(ブラックルーム)」
何者かの声が響くと同時にエリーたちのまわりが闇に囲まれていく。
「そんなものカリンには無駄です。
"聖なる光"(ホーリー・メイ)!」
するとカリンの持つ大きな杖の先端が輝きだし闇をはらった。
「この闇をはらうとは流石ですね」
「そんなことより早く姿を現しなさいよ!」
エリーがそう言うと目の前の空間に闇が凝縮しメイド服を着たサキュバスが現れた。
「はじめまして。私の名前はリリス・メイサ。ここでメイドをしております」
「でメイサさん、レーヤはどこかしら?」
メイサと名のったサキュバスのメイドに不満気たっぷりに聞いた。絶対何か知っているはずだ。
「そうですね…私を倒せたら教えてあげますよ」
メイサは微笑みながら言った。
「上等じゃねーか!」
そう言い放ちガンドロフが剣を構えメイサに突進していった。だが簡単に避けられてしまう。しかしそのよけた先に矢が放たれていた。メイサはそれを紙一重で避ける。だがそこでメイサは自分が誘導されていたことに気づいたが気づくのが遅すぎた。まわりに魔法陣が現れる。
「しまっ…!」
「終わりです」
メイサのまわりの魔法陣が凄まじい勢いで爆発…しなかった。
「え?なんで?」
発動するはずだった魔法陣が発動せずカリンは動揺した。それはメイサも同じだった。
「メイサ〜〜!大丈夫か〜〜!」
そこに真紅の美しい髪を持つ少女が走ってきた。
「ミリア様!なんで来たんですか!」
「だって鏡でメイサ見てたらやられそうになって、だから怖かったけどあいつにメイサを助けてって頼んで一緒に来てもらったの!」
ミリア様とは呼ばれる少女が泣き目でメイサに抱きつきながらいった。
「すいません…お手を煩わせてしまって…で、結局来ちゃったんですか。魔王様」
「ああ…来ちゃったよ」
「「「レーヤ!!」」」
聞きなれた声に反応しエリーたち三人はその声がした方向を見る。そこには探し人のレーヤがいた。いたのだが…
「レーヤ…なの?だけど何その姿…」
そういつもの姿ではなく、黒い翼が生え、黒色に近い紫色の輪が頭の上に浮いていて、目は鋭く赤かった。
「まぁ詳しいことは…」
レーヤは右手の人差し指を前に出し上方へ上げるとレーヤの横にメイサが一瞬で移動した。
「今から話すよ」

「レーヤ、どういうこと?その姿は?」
意外にも発言したのはカリンだった
「まぁ見ての通り俺は魔族になった。それには理由があって魔王になるためだ。そして俺には戦う意思はないし、人間を攻める意思もない。俺のことは心配ないからこのまま帰ってくれないか?」
だがそんなのに納得するエリーたちではない。
「説明不十分。納得できない」
「カリンの言う通りだな」
「だいたい、戦う意思がないならなんでそこのメイドはいきなり襲ってきたのよ」
3人は思い思いのことを言う。
「確かにメイサにお前たちを襲わせたのは俺の指示だ。だけどそれはまずお前たちを不意打ちで身動きをとれなくさせてちょっと俺に関する記憶を改ざんしてそのあと転移魔法でフェアリスに返す予定だったんだ。まぁ、失敗したけどな」
そういってレーヤはメイサを横目で見るとメイサは身を縮めた。
「ということで本当はこの方法は取りたくなかったんだが仕方ないな」
レーヤは右手を前に出した。
「見よう見まねだが…"暗黒空間"(ブラックルーム)」
メイサがと同じ技を使う。しかもメイサのに比べてとてつもない魔力だ。だがこちらにはカリンがいる。
「魔力の規模が大きくなっても無駄。"聖なる…」
「おっと、そうはさせないぜ」
「がっ…!」
レーヤがカリンを睨みつけた。たったそれだけのことだったがカリンはその場に倒れた。
「カリン!」
エリーが叫ぶと同時にまわりが闇に包まれる。
「ぐお!?」
ガンドロフが短い悲鳴をあげ倒れる音がした。しかしレーヤの気配は全くしない。すると後ろからわずかな殺気がした。エリーはすぐその場から飛び武器を構えた。
「気づくとは流石だな、エリー」
「なんで?なんでなの?レーヤがこんなことするはずがないよ!正気にもどってよ!」
エリーの目から大粒の涙が溢れ出した。
「…俺は正気だよ」
レーヤはエリーに近づき右手を前に突き出した。
「ごめんな…エリー。もっと一緒にいたかったよ…」
エリーの意識は暗転した。

「…ん」
「エリーちゃん!大丈夫!?」
エリーが目が覚めると目の前にメアがいた。
「大丈夫だけど…なんで?」
「なんでって魔王城にお兄ちゃんを捜しに行ったあと突然倒れたまま転移してきたんだもん!お兄ちゃんは!?カリンさんとガンドロフさんは!?」
「いやカリンとガンドロフは普通に家にいるんじゃない?今の今までメアちゃんと一緒にお昼寝してたじゃない。わたし魔王城になんかいってないしだいたいメアちゃん一人っ子でお兄ちゃんなんかいないじゃない。メアちゃんねぼけてるんじゃない?」
「え……?」
信じられない言葉だった。どうやら魔王城で何かがあったようだ。しかもこの様子だとカリンさんもガンドロフさんも同じ状態だろう。そう考えたメアはこれ以上話をこじらせないようにエリーに合わせた。
「ごめんなさい。わたし夢みてて現実とごっちゃになってたみたい。」
「ふふ、ほんとメアちゃんったら天然ね。それよりこれからカリンを呼んでお茶でもしましょ」
「う、うんそうだね」
メアはこのとき魔王城に行くことを決意した。

「あれでよかったんですか?魔王様」
「まあ、あれしか方法はなかったしな。それにしてもいる場所がばれるの早かったな」
おそらくカリンだろう。やっぱり命のブレスレットを置いてきたのが痛かったな…。カリンのことにかいしてはもうひとつ奪った記憶が…
「お、おい!レーヤ!」
「ん?なんだミリア」
考え事をしている俺にミリアが話しかけてきた。にしてもはじめて名前で呼ばれたな…。
「そ、そのメイサのこと助けてくれてありがとう…」
「そんなの当たり前のことだ。気にすんな」
まさか礼を言われるとはな。ミリアとの距離が縮まった気がした。ミリアの足は生まれた子鹿のように震えてるけど。
「それにしても魔王様には演技の才能は内容ですね。言っちゃ悪いですけどあの御三方に対する態度は見苦しかったです」
「以外と毒舌なんだな…メイサ…」
「あら?そんなことないですよ」
まあ俺に悪役なんて向いていないのも事実だしな。
それはそうと…
「メイサ以外の使用人はどこにいるんだ?全然姿をみないけど」