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堕天の勇者!? 〜魔王はじめました〜

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一章 勇者悩みました


ここはフェアリス皇国、人間の国では一番大きい国だ。
俺はここで生まれここで育った。
 ちなみに人間以外の種族は魔族、精霊、神族、獣人、さらにそこからさまざまな種に分かれる。簡単に言えばいっぱいいる。
俺は人間だが先祖に神族がいる。俺はその神族の血を濃く引き継いたから勇者として育てられたわけだが…
それはともかくとして今俺たちは魔王を倒したことを報告するために城に来ていた。
「シルソ・レーヤ、シイナ・エリー、ラード・ガンドロフ、レグド・カリン、今帰還致しました」
「無事で何よりです」
この方はリー・フェアリス皇女。亡くなった前皇帝の後を継いだ若き王である。
「それでは報告を」
「はっ!我々は魔王ガレフに挑みこれを討ちとることに成功しました!」
数秒の間があり大臣や兵士たちから歓喜が上がった
「今宵は宴だ!」
魔王討伐の知らせは光のような速さで世界に伝わった

「ただいま…」
夜が明け城での宴が終わり胴上げされた時の浮遊感を残しながらまだお祭り状態の街を歩き自宅に戻った
「おかえり!にいちゃん!」
出迎えてくれたのは唯一の肉親であり俺の生きてる理由ともいえる大切な妹、メアだ。
「早いな、もう起きたのか?」
「ううん、ずっと起きてたんだよ!だって兄ちゃんが帰ってくるのを待ってたから」
なんてかわいいんだ!抱きしめたくなる衝動を抑える
「そうか、遅くなってごめんな」
「全然いいよ!そんなことよりお兄ちゃん疲れてるでしょ?早く寝なって!」
「じゃあ寝るとするよ」
俺は寝床につき、魔王に言われたことを思い出した。
(私が死んだあと魔族を統治してくれないか?私には娘がいるがあれには荷が重い…だがお前ほどの力があれば…)
(お前が断るというならそれでいい、だが魔族を治める者がいなければ魔族の者どもは今まで以上に人々を襲う。さすがのお前達でもさばききれないほどの数でな…)
「俺はどうすればいいんだ…」
結局結論は出ず眠りについた

ドン!ドン!ドン!
「ん…」
昼過ぎに俺は戸を叩く音で起きた。目をあけると目の前にメアの顔があったどうやら俺を帰ってすぐ寝させたのはこうして後から一緒に寝るためだったんだろう。
(くそ…かわいいじゃねーか)
そう思いつつメアを起こさないように布団を出た。その際メアが寝言で「お兄ちゃんそこ食べちゃだめだよ~うへへへ」と言っていたのは聞かなかったことにしよう。
ドン!ドン!ドン!ドン!
「はいどちらさまですか…」
「私よ!私!エリーよ!色々話したいから入ってもいいかしら?」
入ってもいいかしらってずうずうしいにもほどがあるな…、まあそれがエリーだけど
がちゃ…。戸をあける
「…入れ」
「おじゃましまーす」
と言って入ってくる
「ふわぁ~…おはよ~お兄ちゃん…あ、エリーさんもおはよ~」
俺の部屋から今起きたと思われるメアが昼過ぎだというのに朝の挨拶をしながらでてきた。
「あ、こんにちはメアちゃん…ってなんであんたの部屋からでてくんのよ!」
「いや~これにはわけが…」
「ほ~う?後で聞かせえもらおうかしら?」
この時俺は魔王に言われたことをすっかり忘れていた。

「んでレーヤはこれからどうすんの?」
朝ご飯兼お昼ご飯(メニューはメアの作ったシチュー)を食べていたら唐突にエリーが聞いてきた
「なんでだ?突然?」
「だってさ、わたしたちが魔王を倒して世界が平和になったわけじゃん?そしたらわたしたちは職を失ったことになるからさ…」
そこで俺は魔王に言われたことを思い出した。確かに俺たちは魔王を倒したがだからって平和になるか?いやならない。好戦的な魔族がいる限り平和は訪れないだろう。冷静になって考えればわかる事だ。しかし、魔王という圧倒的存在を倒したからこそ平和になったと錯覚しているんだ。逆に言えば魔族にとっても圧倒的存在だった魔王がいなくなれば今まで出来なかったことを出来る。たとえば圧倒的な数で羽目をはずして攻めてくるとか…。いや、まてよ。逆に新しく魔王になった者が規則や制度を作ればあるいは…
「でねレーヤその…あの…よかったら、わ、わたしとけ、結婚を前提につ、つ、つ、付き合ってくれませんか?」
「え?ああ、うん」
「ほ、ほんとに!?」
エリーの顔が笑顔になる
「う、うん」
とっさに返事をしてしまったがエリー何て言ったか聞いていなかった。後で何て言ったのか聞きなおそうか。いや、あとでなんてこないか。
おれはすでに答えを出していた。

「じゃあ、私は帰るわね」
「あ、ちょっとまって」
俺はエリーを呼びとめた
「な、なに?」
「明日からさ、おれの家に住んでくれない?」
「え…ほんとに?いいの!?」
「エリーちゃんがうちに住むの?やったー!にぎやかになるね!じゃ明日からご飯三人分つらないと!」
我ながら大胆なことを言ったがこれには理由がある。二人には言わないがエリーがうちにいればもしもの時にメアを守ってくれるし、明日から俺のいない家で寂しくないだろうしな…
「エリー、メアをよろしくな」
「?わかったわ」
どう捉えたかは分からないが返事はもらえた。
スキップしながら帰るエリーを見送りメアが作ってくれた夜ごはんを食べた。メニューはハンバーグだ。メアのご飯を食べるのがこれが最後だと思うと寂しかった。
最後のおやすみを済ませメアが寝たことを確認すると俺は出かける準備をした本当はメアも連れて行きたいが魔族のいるところに連れていくわけにはいかない。メアの枕もとに俺がいつも身に着けていたブレスレットを置いた。

メアが起きたのは7時。いつもと同じ時間だ
「お兄ちゃんおはよー」
いつもこの時間に起きてるはずの兄にあいさつをするが返事がない。
「…まだ寝てるのかな?」
そう思い兄の部屋に行きドアを開ける
「お兄ちゃん朝だ……!」
しかしメアが目にしたものは寝ている兄の姿ではなくなにもない部屋だった。いや実際には家具はあったが兄のものはすべてなかった。本も服も布団も。
「お兄…ちゃん…?」
いやな予感しかしなかった。そのとき玄関から物音が聞こえた。
「お兄ちゃん!」
急いで玄関に向かった。しかしそこにいたのは大きな荷物を持ったエリーだった。
「あら、おはようメアちゃんきょうからよろしくね!ところでレ、レーヤは?」
「エリーちゃん…うぅ~…ヒック…ゔぇぇぇ~~~ん!」
「ど、どうしたの!?」
突然泣き出したメアにどうしていいかわからずおろおろするエリーだがメアの一言がすべてを教えてくれた。
「お兄ぢゃんが…居なくなったの!」