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堕天の勇者!? 〜魔王はじめました〜

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序章 全ての始まり


 目の前に魔王が倒れている。
どれぐらいたったのだろうか?どれくらい剣をふるい魔法を放ったのだろうか?
 しかしそんなことを考えている余裕は俺にはない。
その理由は目の前に倒れている魔王ガルドが死ぬ前に俺に話してきたことのせいだ。
―数分前―
魔王に剣先が入り血が辺りに散らばる。追い打ちをかけるようにエリーが放った矢とカリンの炎魔法が飛んでくる。魔王はよけるがその先にはガンドロフが待ち構え自慢の剛剣を見舞う。隙を見せた魔王に俺は力の限り魔王の胸に剣を突き刺す。
(勝った!魔王を倒した!)喜びのつかの間剣を突き刺したままだった魔王が耳元で囁いてきた。
「みごとだ…勇者レーヤよ…私が死ぬ前に一つ頼みをきいてくれないか?」
「なんだと?」
魔王が勇者にどんな頼みごとを?そんなことを思っていると
「私が死んだあと魔族を統治してくれないか?私には娘がいるがあれには荷が重い…だがお前ほどの力があれば…」
予想以上にとんでもない事を言ってきた
「それは俺に次の魔王になれと言ってるのか?そんなこと誰が…」
「お前が断るというならそれでいい、だが魔族を治める者がいなければ魔族の者どもは今まで以上に人々を襲う。さすがのお前達でもさばききれないほどの数でな…」
「んな!?」
「どうするかはお前次第だ…」
そこで魔王は力尽きた

「……ヤ」
「レーヤ」
「レーヤ!」
自分を呼ぶ声に気付き振り向くとアーチャーで幼馴染のエリーが立っていた
「何ぼーっとしてるのよ!魔王を倒したんだからフェアリスに帰るわよ!」
「そうです、エリーの言う通りです。」
とエリーの横にいた幼女…もとい魔道師のカリンがつぶやいた
「あいかわらず見た目も声もちっちぇーなー!」
見た目も声も大きいこいつは剣士のガンドロフだ。剣士というより鍛冶屋の方がしっくりきそうな体つきだ
「うるさいです。丸焼きにしますよ」
「うおっ!?それだけは勘弁!」
「ははっ」
俺は笑ってみるがやはりぎこちなくなってしまう
「それじゃあ帰りましょうか!カリン、転移魔法おねがい」
「了解」
転移する瞬間後ろを見ると魔王の亡骸と柱の陰に美しい深紅の髪が見えた…