ぽっちゃりグラビアアイドル×秋葉系東大生
店に入り定員の人に訊いた。
「ここの蒸し魚、時価ってなってますけど今はいくらですか?」
「ええと、厨房で聞いてきますね」
「えっ時価の魚なんて注文しちゃうの?お金大丈夫?」
「いいんだよ」
店員が戻ってきて、
「5800円です」
そう言った。きびしい、高い、そう思ったが僕はそれを頼んだ。
「あとシャオロンバオとコンシン菜と大根もちと、キュウリのにんにく和え、練り物の天ぷらの台湾胡椒風味、シジミの醤油漬け、皮蛋豆腐、それにウーロン茶それだけでいいです」
僕は店員にそう言った。
「大丈夫?お会計私も出そうか?」
「いいよ。僕がかってにつれてきたんだから」
しばらくして料理が来て、僕達はそれらの料理を次から次へと食べていった。
「魚けっこうあるわねえ」
「まあ、4,5人前だからな」
僕達はそれらをたいらげた。
「ああ食った。食った」
「ひょっとして私を太らせるつもり?」
「いや今日食べている料理のメインは魚だし、炭水化物になるものは二人でシャオロンバオ3個と大根もち二切れだけ。あとは豆腐、魚貝、野菜お茶ばかりでそんな太るメニューではないよ。あと脂っこいと思うかもしれないけど体内で合成できない必須脂肪酸のn-6系脂肪酸の中のリノール酸は調理用の油で取るのが現実的だよ。よくノンオイルとか言うけど体が必要としている油を全くとらないと、体が油を欲する。無性にラーメン大盛り食べたくなるとかね。我慢しても結局苦しむ羽目になる。それにウーロン茶を飲んでれば脂分もカロリーもそんな気にする量じゃない」
「けっこうたらふく食べたけどね」
「どう気分は?」
「まあそりゃあお腹いっぱい食べたから最高よ」
「ポテチ3袋食べた後の気持ちとどう違う?」
「どうって…まあなんか違うわね。ポテチの場合は3袋食べても本当はもっと食べたい位でまだ満たされていなくて」
「今は満たされている?」
「まあ、満たされているわね。お金もそれなりにかかっているけど」
「ところでポテチ食べながら漫画読む話だけど、こういう考え方できない?」
僕は一呼吸おいて、
「人間はある程度糖分や、脂肪分を必要とするけど、程度を超すと摂取するのが嫌になる。つまりポテチは油の塊。過剰なポテチは自分で自分を痛めつけているんだ。依存症という形で」
「私が?自分を?」
「そう気づいていないかもしれないけど」
「でもそんな痛めつけている感覚はないけど」
「これ以上食べるとウッとくる。気持ち悪くなる。そう思い浮かべるんだ。たっぷりの油を嫌う自分を想像する。チャーシューメン食べた後にポテチはウッとくる。重たいという気持ち少しでもあるでしょ?」
「まあ少し分からなくもないわね」
「とにかくまず食べたいものを我慢するという発想より、自分が欲している以上の食べ方をしない。少しづつ食に関してスマートな発想を持つんだ。焼きたてのなすやシイタケを醤油で食べるとおいしいとか」
「そうねえ。分かる様な。分からないような」
「それとポテチを食べ続けてもね。調べたところストレスは少しも発散されないんだ。漫画も大してストレス発散になっていない」
「本当?ストレス発散にならないの?」
「逆に苦しむだけだよ。人間食べるのにもエネルギーを使う。ポテチを深夜まで食べたら、逆にストレスを溜め込んでいる様なもんだよ。肉体的にも疲れる」
「じゃあ、どうすればいいの?運動?ダンスとか?私には無理よ」
「それはこの先考えればいい。今は運動はできなくても、漫画を読むよりは、何か文章を書けばいい。音楽を聴くのもいいけど、自分自身歌う方がいい。カラオケやお風呂の中で、出来れば自分で作った鼻歌なんかに歌詞をつけて作曲するとか」
「鼻歌なら私得意よ。運動は無理でも作曲はできるかもしれない。人間て何かしらひとつくらい取り柄ってあるのね」
「あともう一つ花子の部屋の中って綺麗?」
「部屋?またデリカシーのない質問するわね。女性の部屋のこと聞くなんて」
「どうなの?」
「そりゃあ、ごちゃごちゃよ」
「じゃあ、それ片付けてくれる?」
「作曲とか部屋の片づけとかこれってひょっとしてダイエットと関係あるの?」
「はっきり言って僕も手探り状態さ。でも僕を信じて。東大生の中でも僕の分析能力は抜きんでている」
「分かった。信じるわ。別に嫌な事要求されている訳じゃないし、ちょうど私の部屋何とかしなくちゃってずっと思っていたし」
僕達はこうしてその日は別れた。
(続く)
作品名:ぽっちゃりグラビアアイドル×秋葉系東大生 作家名:松橋健一